タクシー業界のビジネスモデルはどのように変わっていくのか?

投稿日:2020年10月2日 | 最終更新日:2020年10月2日

現在、タクシー業界のビジネスモデルに各方面から注目が集まっています。日本で初めてタクシー会社が設立されたのは1912年の大正時代でした。それから100年以上、タクシー業界のビジネスモデルに大きな変革はほとんどありませんでした。

しかしIT技術が発展した現代において、ようやくタクシー業界のビジネスモデルに変化の流れが生まれてきたのです。そこで今回の記事では、タクシー業界のビジネスモデルはどのように変わっていくのかを考察して解説をしていきます。

この記事を読んだらわかること

☑タクシー業界はどのような現状なのか
☑タクシー業界のビジネスモデルの変化について
☑タクシーが成長産業である理由

タクシー業界の現状

まず初めに、現在のタクシー業界はどのような状況なのかを詳しく解説していきます。

安定した需要はある

タクシーは基本的に需要が安定している業界です。リーマンショックがあった頃は、リストラなどの影響で会社関係での利用者が減ったことにより一時的に需要が落ち込みましたが、経済が回復してからの需要はほぼ一定で推移しています。

今後は高齢化社会になることによりタクシーの利用者が増えることも予測されており、タクシーの需要がなくなる可能性は低いです。

現在のタクシー業界は需要と供給のバランスが取れており、ドライバーにとっては非常に働きやすい環境が整っていると言えるでしょう。今後も経済が安定している限りは、業界全体が大きなダメージを受けるという事態になることはほぼないと考えられます。

深刻な人材不足

タクシー業界において問題視されているのが深刻な人材不足です。特に業界全体に若い人材が不足しており、タクシー運転手の平均年齢は60歳前後と高齢化が進んでいます。最近では高齢者の免許返納の流れもあることなどから、若い人材の育成が進まなければタクシー運転手の数がどんどん減っていってしまう恐れがあります。

人材不足の原因としては「労働環境が過酷なのではないか」「若い人がやる仕事じゃないのではないか」など、タクシー運転手の仕事に対してネガティブなイメージが先行していまっていることが挙げられます。

今後のタクシー業界はそういったネガティブなイメージを払拭し、若い人材を確保できるように変わっていく必要があります。

IT化が遅れている

他の業界と比べ、タクシー業界はIT化において大幅な遅れを取っています。スマートフォンの普及率が9割近くに上る現代社会において、IT化の波に乗り遅れているのは大きな問題点の一つです。都心部のタクシーは少しずつIT化が進んできていますが、地方タクシーはほぼ進んでいないのが現状です。

IT化が遅れている原因としては、タクシー業界は大きな変革をしなくても需要が安定していることや、従業員に高齢者が多くITを取り入れづらいことなどがあります。

今後のタクシー需要増加、人員不足、若い人材の確保など様々な問題点を解決するためには、IT導入を積極的に進めていく必要があると考えられています。

まだまだ改良の余地がある

タクシー業界は、日本で初めてタクシーが誕生した頃から長らく大きなビジネスモデルの変化がありませんでした。競合他社とのサービス競争もほとんどなく、どの会社も同じようなサービスを提供し続けてきました。そのため、タクシー業界はまだまだ改良の余地が多く残っています。

しかし、逆を言えば改良する余地があるというのは成長する見込みが大きいということです。サービスの向上はもちろん、IT業界との連携や現金以外の決済サービスの導入など、いかに顧客満足度を上げられるかが現代におけるタクシー業界の課題です。

今後の業界では、時代に合わせて柔軟に変化できるタクシー会社が求められていくでしょう。

タクシー業界のビジネスモデルの変化・今後どうなるのか予想

では今後、タクシー業界のビジネスモデルがどのように変わっていくのかを予測して解説していきます。

IT化が進んでいく

現在のタクシー業界は若い人材の積極的な採用に力を入れています。今後、業界全体に若い人材が増えていくと共にIT化が進んでいくことが予想されます。時代の流れに合わせ、スマートフォンを使ったサービスが主流となる見込みです。

20代~30代はスマホの普及率が90%を超えているのに対し、60代以上となると普及率は20%~50%程度と、世代間の差が非常に大きいです。これから若い世代のタクシー運転手が増えていけば、”スマートフォンを仕事で使う”ということに対し、抵抗を持つ人は次第に少なくなっていくことが考えられます。

IT化が進めば業務が効率良く回るようになり、結果的に運転手ひとりひとりへの負担が少なくなっていきます。従業員の労働環境の改善は、人材不足やネガティブイメージを解消するために必要なステップとなるでしょう。

タクシー配車アプリの導入

タクシー業界の現状を変えるべく、IT業界が続々とタクシーの配車アプリ事業に参入をしてきています。配車アプリはタクシーと顧客のマッチングサービスのようなもので、スマートフォンの位置情報を利用して配車のマッチングを行っています。

アプリを導入する目的としては、顧客側の「タクシーに乗りたいのになかなか捕まえられない」という意見と、タクシー運転手側の「お客様がなかなか見つからない」というミスマッチを減らすためです。

日本では配車アプリの導入が海外と比べ遅れていましたが、徐々に認知が広がり始めています。代表的なものはUberタクシーやJapan Taxiなどです。今後は配車アプリの利用が更に増えていくと予想されています。

AIによる需要予測

AIによる需要予測というのは、過去の運行データなどからタクシーの需要予測エリアを分析し、効率的にお客様を見つけることができるサービスです。AIデータはリアルタイムで配信がされるため、イベントや電車遅延などの突発的な出来事にも対応しています。

需要予測に基づいてお客様を探すことにより、無駄にタクシーを走らせる時間を短縮することができ、売上も効率よく伸ばすことが可能です。全国的に見てAIの需要予測を利用しているタクシー会社はまだ少ないですが、徐々に導入する会社は増えてきています。

待ち時間が減ることによる顧客満足度の向上や、タクシー1台あたりの実車率の底上げなどが期待できます。

自動運転タクシーの開発

日本での実現はまだ未定ですが、世界では自動運転タクシーの導入を始めている企業もあり、徐々に自動化の流れが進んでいます。最初はドライバーの運転補助から始まり、最終的には完全無人のタクシーが目標とされています。

ただし完全な無人タクシーを運用するためにはクリアしなければならない問題がたくさんあり、技術が確立するまでは運転席には人が必要になるためタクシー運転手の仕事がなくなる可能性は低いです。

もし自動運転タクシーが増え始め格安でタクシーを利用できるようになれば、有人のタクシーにはサービスの質が求められるようになると推測されています。自動運転化の流れを上手く利用できるよう、タクシー運転手は接客サービスの質を磨き続けておかなければなりません。

インバウンドへの対策

タクシーにおいて大きな売上を占めているのが外国人観光客などによるインバウンド消費です。日本では英語教育が遅れていることもあり、英語が話せるドライバーの数はまだまだ少ないです。そのため各タクシー会社は、インバウンドへの対策として翻訳システムやアプリの導入を進めています。

他にも配車アプリの多言語化や、キャッシュレス決済への対応など、外国人観光客が快適にタクシーを利用できる環境はどんどん整ってきています。最近では外国人ドライバーの積極的な採用を行う企業も増えてきており、インバウンドへの対策はこれからもどんどん発展していく見通しです。

タクシーは成長見込みのある注目の業界

タクシー業界は成長産業として各業界から注目されています。タクシー業界がなぜ成長見込みのある業界なのかを詳しく解説していきます。

タクシー業界を変革する流れが来ている

これまで100年以上ビジネスモデルに大きな変化がなかったタクシー業界ですが、IT業界が参入してきたことにより現在大きな変化が生まれてきています。今後、タクシー業界を変革する流れはしばらくは続いていくだろうと考えられています。

新たなビジネスモデルの確率は、業界全体の成長につながります。これからタクシー業界は今までにない新たな形で成長していくでしょう。

待遇や給料改善する会社が増えている

タクシー業界の問題点である人材不足ですが、IT化が進めば機械で人が足りない分を補うことができるようになり、また、必然的に従業員ひとりひとりの負担は軽くなっていくことが予想されています。

負担が軽くなった分をタクシー運転手の待遇や給料アップなどに回して還元する会社も徐々に増えてきているため、タクシー運転手へのネガティブなイメージも少しずつですが変わりつつあります。

若い人材の確保も徐々に進んでいる

IT化が進んだことにより、スマホアプリが身近な存在である若い世代もタクシー運転手を目指す人が増えてきています。タクシーと顧客のマッチングサービスのようなアプリは、スマホを日常的に利用している若い世代にとって使いこなすのは難しいものではありません。

また、タクシー運転手の営業には、イベントの開催や街の移り変わりなどのトレンド知識が必要です。タクシー運転手は高齢者の仕事というイメージがついてしまっていますが、実は流行に敏感な若い世代にこそ向いている仕事なのです。

【まとめ】タクシー業界のビジネスモデルは大きく変わっていく

タクシー業界のビジネスモデルは、IT社会の現代において大きく変わろうとしています。配車アプリを始めとしてタクシー関連の新規サービスが続々と増えてきており、IT事業の動きも活発化しています。これからはもっと便利にタクシーを利用できるようになるでしょう。

まだまだ変革途中のタクシー業界ですが、成長産業として今大きな注目を集めています。タクシー運転手としての将来を考えるのであれば、タクシー業界の今後の動向を把握しておくことは非常に重要です。ぜひ業界の最新情報を常にチェックし、今後の戦略を考えてみてください。

この記事のまとめ

☑タクシー業界のIT化が急速に進んでいる
☑今後は配車アプリが浸透していく
☑若い人材の積極的な採用が進んでいる
☑タクシー業界は成長産業として注目されている
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