投稿日:2020年10月29日 | 最終更新日:2020年10月29日
タクシー業界に興味のある方なら、
「タクシー運転手の仕事は大変なのか?」
「タクシー運転手の苦労話を聞いてみたい」
といったことが気になるはずです。
そこで今回は実体験を元に、タクシーの運転手の苦労エピソードを紹介しています。
後半ではタクシー運転手としての苦労を減らすためのコツも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んだらわかること
☑︎遭遇したことのある「びっくりなお客さん」
☑︎タクシー運転手の読者さんが同じ苦労しないために伝えたいこと
【体験談】タクシー運転手としての苦労を紹介
タクシー運転手として仕事をしていく中ではそれなりの苦労があります。
理不尽な思いをすることもありますし、完全に自己責任な失敗談もあるでしょう。
ここでは実際の経験をもとに、苦労したお話をいくつかまとめました。
何かの参考になれば幸いです。
首都圏の地理を覚えるのが大変だった
当たり前ですが、タクシー運転手をやっていくうえでは地理を覚える必要があります。
「稼げるエリアだから」という理由だけで、知らない首都圏で仕事を始めました。
しかし、最初は土地勘がないままの営業が本当に大変でした。
ある程度大きな道路であれば地図を頭に入れれば問題ありませんが、それだけではタクシー運転手の仕事はとても勤まりません。
お客さんによっては親切に「○通りを南下して、○○の交差点を右折して…」といった指示をいただけることがあるのですが、せっかくのアドバイスもほとんど理解できず、今思えばたくさんのお客さんにご迷惑をおかけしてしまったと感じています。
仕方がないので初期の頃は目的地をカーナビで入力していました。
そんなある日、とある強面の男性客から
「おい、タクドラのくせに道も覚えてねぇのかよ」
と凄まれてしまいました。
その時の内心は「この地域にきたばかりなのに…」という感じでしたが、当然のことながらお客さんにとっては関係ありません。
焦った私はその後、道の選択を誤って渋滞にハマってしまいました。
その時のお客さんからはさんざん暴言を吐かれた上に、会社にまでクレームの電話を入れられる始末…
今思い返しても苦い味のする経験となりました。
しかしこのようなお客さんとの出会いは、言ってみれば「洗礼」のようなものです。
こういった経験を繰り返すことでメンタルが強くなり、ちょっとやそっとクセのあるお客さんに会ったくらいでは動じなくなってくるのです。
そしてお客さんからのクレームも、冷静になって振り返れば一つ一つが勉強です。
嫌がらせのようなクレームは聞き流して良いですが、筋の通ったクレームはしっかり受け止めて、経験を積んでいきましょう。
ちなみに、営業エリアの地理に関しては1ヶ月ほども仕事をこなせば嫌でも身につくのであまり心配はいりません。
むしろ勝負となるのはその後です。「どのポイントが稼ぎやすいのか?」をしっかり研究し、売り上げがアップしてくると、私の場合は「仕事が楽しい」と思えるようになりました。
最初は思うように稼げなくて苦労した
タクシーの給料は歩合制で、売り上げに応じて給料が増えたり減ったりします。
タクシー運転手になって間もない頃は、お客さんを拾うポイントやコツが全くわからないので、売上を出すのにかなり苦労しました。
売り上げがなければ、当然もらえる給料は少ないままです。
「これで生活していけるのか?」と不安になることも多かったと記憶しています。
しかし同じエリアで営業している先輩ドライバーが月に50万、70万と売り上げているのを見ていたので、「自分にもできるはずだ」という強い気持ちは持っていました。
- 時間帯による人の流れ
- タクシーを利用するお客さんの特徴
- 近場でのイベントの有無
といったことを細かくリサーチしました。
ある時は稼いでいる先輩ドライバーの動きを追って、可能な限りマネをしていたこともあります。
こういった日々の反省・改善を繰り返すことで、お客さんを乗せられるスキルが着々と身についていきました。
試行錯誤の結果、1年後には月収100万円を達成。あんなに稼げなかったのに、今では他のタクドラの方にノウハウを教える立場となっています。
ちなみに「これからタクシー運転手になろう」という方に向けて不安をほぐしてあげたいのですが、タクシーの会社に入社した場合は給与保証というのがあります。
給与保証とは「入社して数ヶ月は手取り35万円程度が確実にもらえる制度」のことです。当面は生活できなくなる心配はする必要がないので、この期間にしっかりとスキルを身につけましょう。
体調を崩しそうになった
タクシー業界では隔日勤務という勤務体制が主流となっています。
隔日勤務とは1日で2日分の業務をこなし、翌日が休みになる形です。
隔日勤務の1日あたりの労働時間は20時間以上となるため、慣れないうちは生活が乱れて大変でした。
昼夜が逆転して睡眠のリズムが崩れたことに加え、当時は独身だったため食事もファーストフードやインスタントに頼りがちです。
さらにタクシーでは1日中座りっぱなしなので、運動不足がたたって腰痛にも悩まされることになりました。
このような感じで体調を崩していたのですが、「これではダメだ!」と思い立ち、次のように意識しました。
- 毎日の仕事の休憩時間をきっちり決める
- 簡単でいいので自炊する(節約にもなりました)
- 休みの日はできるだけ外に出て散歩など体を動かす
- 仕事の前日はしっかり睡眠をとる
この結果、体調を深刻に崩すこともなく、隔日勤務そのものにも慣れていきました。
「なんだか大変そうだな」と思うかも知れませんが、隔日勤務は1ヶ月の半分ほどが休日です。
休日が多い分、自分の趣味に打ち込めたり、新しいことにも挑戦できます。
自己管理する努力さえ怠らなければ、タクドラは人生の時間を有効に使える職業かもしれません。
事故を起こした時はショックだった
タクシー運転手は運転のプロですが、人間なのでやはり時には事故を起こします。
仕事で疲れている時や、風邪をひいて体調が悪い時、私生活で心配事を抱えている時など、集中力を欠いてしまうことがあるわけです。
私にもそのような経験があり、小さなミスで事故を起こしてしまった経験があります。
狭い路地で車幅を見誤り、サイドミラーを電柱にこすってしまうという小さな事故でしたが、それでもショックでした。
何しろ自分の運転スキルには自信を持っていましたし、実はそれまで交通事故など一度も起こしたことがなく、ずっとゴールド免許だったからです。
その時は本当に軽い物損事故で処理されましたが、内心ではかなり動揺していたのを覚えています。
そして、「もしスピードが出ていて、接触したのが歩行者だったら?」と考えると怖くなりました。
タクシー運転手はお客さんを安全に目的地へ送り届けるのが仕事ですが、それ以前に「車は凶器となりうる」ということを忘れてはいけません。
それ以降は常に安全運転を心がけ、初心の心を忘れずに運転をするようにしています。
その甲斐あって、無事故無違反のタクシー運転手だけがもらえる「優良運転者証」をいただきました。
ちなみに優良運転者証をもらうと、主要な駅や商業施設で専用のタクシー乗り場につける事が許されます。
効率よくお客さんを乗せられるので、もしタクシー運転手になったらぜひ「優良運転者証」をもらえるように頑張ってください。
実際に経験した「苦労客」ランキングTOP3
タクシー運転手をやっていると、大変なお客さんに遭遇することもあります。
ここでは私が対応に苦労したお客さんTOP3を紹介しましょう。
「母国語がわからない…」外国人客
私は多少の英語を話せましたが、とあるアジア系外国人のお客さんが話す内容は全く理解できませんでした。
そもそも母国語が何なのかさえ分かりません。
最初は焦りましたが、落ち着いて対応しようと思い、ジェスチャーで「地図はありますか?」と尋ねてみました。
するとそのお客さんは目的地をスマホで示してくれて、無事目的地にお連れできました。
この経験から思うことは、「言葉が理解できなくてもジェスチャーでなんとかなる」ということです。
もちろん、英語は必要最低限くらいはできた方が便利なので、勉強することをおすすめします。
行き先も言えないくらい酔っ払ったお客さん
ある時のお客さんは会話ができないくらい酔っ払っていました。
当然、会話ができないのでお客さんの目的地もわかりません。
揺さぶったりしても効果がなく、ただ時間だけが過ぎていき、稼げる時間帯が無駄になってしまいました。
「車を汚されるのではないか?」という不安も抱えつつ、30分ほどかけて懸命に起こしてなんとか目的地をきき出しました。送り届けて「運賃が足りない」という事態にもならなかったのは不幸中の幸いといえます。
こういったお客さんは、夜の繁華街で営業していれば誰でも遭遇します。最初は大変かもしれませんが、徐々に扱いも上手くなってくるでしょう。
酔っ払ったお客さんも悪いことばかりではありません。長距離を平気で乗ってくれたりしますし、気前良くチップをくれることもあります。
気に入ってくれたら覚えてもらえて指名が入ることもあるかもしれません。
その意味では、酔っ払いの方も案外良いお客さんなんですよ。
ちなみにコミュニケーションが取れないお客さんに対しては、運転手は乗車拒否もできます。にっちもさっちもいかない時には、申し訳ないと思いつつお断りしましょう。
羽田じゃなく成田だった…!
このお客さんは乗るや否や「羽田まで」といって、すぐに寝落ちしました。
その後羽田に到着して声をかけると、そのお客さんは「なんで羽田なんだよ!成田までと言っただろう」と激怒し始めました。
そこから「言った言わない」の攻防があり、挙げ句の果てには「金は払わない」と言い始めたのです。
最終的にドライブレコーダーの録音が切り札となって、渋々料金を支払ってくれました。
私はそれ以降、紛らわしい目的地の時はお客さんにしっかり確認してから出発するようにしています。
タクシー運転手としての苦労をなくすためには?
ここまで実体験をもとにした苦労話を紹介しましたが、タクシー運転手としてこのような苦労を避けるにはどうるべきかを以下で解説していきます。
結論:スキルを上げること!
結論は以下の3つスキルを向上させる事が一番手っ取り早い解決法です。
- 運転スキル
- 接客スキル
- 地理的スキル
もちろん、簡単にこの3つのスキルを向上させる方法はありません。最初は誰もがゼロからのスタートです。
一歩一歩、地道な努力でこのスキルを磨いていきましょう。
やる気を持って前向きに仕事に取り組めば、誰でも必ずスキルは向上していきます。
「苦労の分だけ収入はアップする」と考える
苦労した経験は、あなたの経験値になります。
経験値を多く積むほどに、タクシー運転手としてさらに成長していくわけです。
つまり、苦労の分だけ収入は上がっていくと考えればいいでしょう。
さらにいえば、苦労した経験はタクシー運転手としてだけでなく他の仕事にも役に立ちます。
この考え方を持つことによって、「苦労も成長のエサ」と思えるようになるのではないでしょうか。
働きやすいタクシー会社に勤める
ここまでは、行動やマインドについてお話ししてきました。
最後は、「しなくてもいい苦労は回避しよう」というお話をします。
端的にいえば、ブラックなタクシー会社には勤めないように注意しようということです。
根本的な話ですが、誰だって理不尽な待遇を受けていてはどんなに頑張っても報われないですよね。
少しでも働きやすく、雰囲気の良い会社で働くことをおすすめします。
もし現在の職場に対して疑問を感じているなら、転職も視野に入れていきましょう。
まとめ
タクシー運転手という職業は、慣れないうちは苦労がつきものです。
ですが逆にいえば、慣れてくると徐々に苦労が減っていくということでもあります。
今では過去の苦労も含めて「タクシー運転手で本当によかった」と心から思っています。
大げさに聞こえるかもしれませんが、仕事を通して人生を学びましたし、十分な収入や仕事のやりがいも得ています。タクシー業界に興味のある方に対してはぜひチャレンジして欲しいです。
もし就職先や転職先に失敗したくないのであれば、タクシー業界の専門コンサルタントに一度相談してみるといいでしょう。
それこそ「経験しなくてもいい苦労」を未然に防げるはずなので、気軽に利用してみてください。