タクシーで長距離客は嬉しい?メリットや注意点について完全解説【断ってOK】

投稿日:2020年10月2日 | 最終更新日:2020年10月2日

タクシーにのるお客さんの目的地は、近いこともあれば遠いこともあります。
運転手の立場にしてみれば、「近場の利用客よりも長距離客の方が嬉しいはず」とシンプルに思いますよね。

もちろん長距離客の方が一度に大きな売り上げを確保できますが、とはいえメリットばかりではなく注意点もあります。

そこで今回は、タクシー運転手にとって長距離客がどのような存在なのかを詳しく解説します。
これからタクシー運転手になろうと考えている方はぜひ参考にしてください。

この記事を読んだらわかること

☑︎タクシー運転手にとって長距離客とはどんな存在なのか
☑︎そもそも「長距離」ってどういうこと?
☑︎長距離客を乗せるときの注意点

タクシー運転手にとって長距離客は嬉しいのか?

タクシー運転手をしていると本当にいろいろなお客さんを乗せます。
その中には「東京から大阪まで」といった長距離客も珍しくはありません。

そんな長距離のお客さんは、タクシー運転手にとってもちろん基本的には嬉しい存在なのですが、実は良いことばかりではありません。

まずは長距離客のメリット・デメリットについて解説していきます。

長距離客を乗せるメリット

長距離のお客さんは当然のことながら、1回の乗車でまとまった金額の売り上げとなります。

例えば東京から大阪までタクシーに乗った場合、少なくとも15万円は稼げると思って良いでしょう。
深夜料金の時間帯だった場合は、より大きな売り上げとなります。

もし仮にこのようなお客さんを乗せることができれば、「その日の仕事はおしまい」と考えてもいいはずです。
タクシーの仕事は毎日必ずお客さんを拾えるわけではないので、確実に稼げる長距離客はやはり嬉しい存在といえます。

長距離客を乗せるデメリット

しかし、長距離客を乗せるのは良いことばかりではありません。

たとえばタクシーは決まったエリアの外で営業することは基本的にNGなので、お客さんを降ろした後は営業所まで回送になります。つまり空車の状態で長距離を戻ることになるので、その分のロスが発生してしまうわけです。

さらに、長距離の運転は当たり前ですが疲れます。お客さんに断って途中休憩を入れることはできますが、それでも一度に数百キロも走れば体力的、精神的にかなりの疲労を感じるはずです。
もしその日の体調が悪かったり日頃の疲れが溜まっていた場合は、集中力を欠いて事故のリスクも高まってしまうかもしれません。

長距離客はまとめて稼ぎたい人にとって嬉しい

とはいえ普段の体調管理がしっかりできていれば、ある程度の長距離なら職業運転手として問題なくこなせるはずです。
体力のある若い人にとっては、東京-大阪くらいならそこまで辛くはないでしょう。

常にお客さんを乗せて走れるような熟練のドライバーならいつものエリアで営業していたほうが効率が良いかもしれませんが、「細かくお客さんを拾うよりもいっぺんにまとめて稼ぎたい」というタイプの運転手であれば、長距離客はラッキーな存在といえます。

そもそも長距離とはどういうことなのか?

ここまで読んでみて「そもそも長距離とは何キロからなのか?」という疑問があるかと思います。

実はタクシー利用において「長距離」の明確な定義はありません。
ただ、いくつかの基準があるのでお伝えしていきます。

営業エリアから50キロ離れた場合

タクシーはお客さんから乗せるよう求められれば応じる義務があります。

1(1) タクシー運転手は,法令所定の事由がない限り,運送の引受を拒絶することはできません(道路運送法13条)。
つまり,正当な理由のない乗車拒否は禁止されており,違反に対しては100万円以下の罰金が予定されています(道路運送法98条6号)。

しかし、目的地が営業エリアから50キロ離れている場合は乗車拒否することが認められています。
なのでこの50キロをもって「長距離」と見なすことができるでしょう。

料金が9,000円を超えると「遠距離割引」となる

タクシーの料金は一定額を超えると、そこから先は自動的に遠距離割引が適用されます。

この一定額は地域により異なります。東京など関東圏の場合は9,000円を超えた分から1割引きとなりますし、大阪であれば5,000円を超えた分から半額となります。

この一定額を超える距離であれば「長距離」と見なすこともできるわけです。

仕事に支障が出る場合は断ろう

お客さんの目的地が長距離に該当する場合、まずは引き受けるかどうかを判断する必要があります。
もし仕事に支障をきたす場合はしっかり断りましょう。

仕事に支障をきたすのはどんな場合かというと、分かりやすい例でいえば「時間的に次の予約時間に間に合わない」といったケースがあります。

そしてタクシー会社に勤務しているなら、1台の車両を同僚とシェアしていることも多いはずです。その場合、もし長距離の運行をしていて帰庫が遅れると、同僚が仕事を始められません。

さらに、タクシーはエリアによって1日に乗務できる距離が決まっていることがあります。
こちらも地域によって違っており、関東運輸局の管轄では出庫〜入庫で365キロ、近畿運輸局の管轄では出庫〜入庫で350キロとされています。
これを超えた距離は運行できないということを覚えておきましょう。

タクシーで長距離客を乗せる場合の注意点

もし長距離客を乗せる判断をした場合、念のため注意するべきことがあります。
お客さんを安全に運びつつ、自分も安心して運行するために必要なことなので、ぜひチェックしておいてください。

時間には余裕を持たせよう

基本的なことですが、運行計画はゆとりを持つようにしましょう。

「長距離=慣れない道を走る」ということなので、道を間違えるリスクがありますし、渋滞する道や時間帯についても把握していないはずです。
効率の悪い運行になる可能性があることを割り切って、時間的な余裕を作るようにしてください。

燃料は計画的に

タクシーの燃料はガソリンではなくLPガスであることがほとんどだと思います。
ガススタンドは数が少ないため、あらかじめどこで燃料を補給するか計画しておいた方が無難です。

ちなみに燃料補給は原則として契約スタンドを利用しますが、長距離運行の場合はそれ以外のスタンドで補給することになります。
燃料代は運転手建て替えの上、最終的に会社負担になるかどうかはあらかじめ確認しておきましょう。

乗り逃げされない対策をしよう

気をつけなければいけないのは無銭乗車です。お金を持っていない確信犯が、最初から逃げるつもりでタクシーに乗る場合があります。
このケースの被害に当たってしまうと、勤めているタクシー会社からの保証も期待できません。つまり長距離を往復する運転手の労力がまるまるムダになってしまうわけです。

こういった被害に合わないために有効な対策は、「身分証を預かっておく」「前金をいくらか預かる」といった方法があります。長距離の目的地を告げられた場合には、念のためお客さんに打診しましょう。

適度に休憩を入れさせてもらおう

すでにお伝えしましたが、長距離の運転は精神的にも体力的にも疲弊します。
安全運転をキープするために、適度に休ませてもらうようにしましょう。

相手が急いでいる場合は言いにくいかもしれませんが、これもお互いの命を守るためです。
交通事故を防ぐためにも休憩は必ずとりましょう。

【まとめ】長距離のメリットとデメリットを踏まえて賢く営業しよう

今回はタクシーにおける長距離の運転について詳しく解説しました。

長距離客は一度にまとまった売り上げとなるので、タクシー運転手にとっては基本的に嬉しい存在だといえます。
しかし長距離ならではのデメリットもあるため、安請け合いはせずにしっかり検討してから引き受けましょう。

もし引き受ける場合は、運転手もお客さんも安心して目的地まで到着できるよう、お伝えしたポイントをおさえつつ安全運転に努めてください。

この記事のまとめ

☑︎タクシーで長距離客を乗せるのは基本的に嬉しいことだが、メリットとデメリットがある
☑︎長距離の場合、仕事に支障をきたす場合は乗車拒否できる
☑︎引き受ける場合は注意点をおさえつつ安全に運行しよう
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