タクシー料金の仕組みってどうなってる?転職前に知っておくべき基本知識!

投稿日:2020年7月23日 | 最終更新日:2020年7月23日

タクシーを利用する際、当たり前のように料金表示をしているタクシーメーターですが、仕組みがどうなっているのか気になるという方もおられるのではないでしょうか?今回はタクシー料金に関してよくある疑問にお答えしていきます。そもそもメーター制とはどのようなものなのか、初乗り賞金や初乗り料金以後に加算される料金は全国どこでも同じなのかどうかといったテーマについて解説するとともに、タクシーの割増・割引料金のあれこれもご紹介します。タクシー料金について疑問を持たれている方はもちろん、タクシー運転手として働いてみたい方もどうぞ参考にしてくださいね!

この記事を読んだらわかること

☑︎タクシー料金はメーター制
☑︎タクシー料金のメーター制は全国どこも同じ?
☑︎メーター制以外にもタクシー運賃の種類はある?
☑︎割増割引いろいろ!タクシー特別料金の種類
☑︎転職前に必読!タクシーでよくある料金トラブルとは?

タクシー料金はメーター制

国内タクシーは通常メーター制料金です。一方、ハイヤーは1回いくらの貸切制タクシーなので、タクシーとは料金制度が根本的に異なります。ここでは、タクシーで使用されているメーター制の基本から初乗り運賃・メーターの仕組みについてわかりやすく解説します!

そもそもタクシーのメーター制とは?

タクシーのメーター制とは、一定の距離を走行するごとに決められた料金が初乗り運賃に加算されていく料金制度です。街中で流し営業をしていたり駅・ホテルなどで待機してたりする通常のタクシーは、「時間距離併用運賃」を採用しています。

時間距離併用運賃とは、先ほどご説明した一定の距離を走行するごとに一定料金が足されていく仕組みを基本に、渋滞・信号待ち・お客様のご都合により走行途中に待機する場合などに一定の時間経過に対しても料金が加算されていくという制度です。

かつては小型車と中型車という区分があり、それぞれに料金が違いましたが、2020年2月にタクシー料金が改定され、現行制度では普通車として統一されています。初乗り運賃や加算料金は営業エリアによって異なります。そちらについては後ほど詳述します!

初乗り運賃とは?

初乗り運賃とは、タクシーの最低料金のことです。「1(ワン)メーターで行ける距離」という言葉は、最低料金で行ける近い距離という意味になります。初乗り料金はタクシーを利用する際に最終的な料金を決める基本となる料金で営業エリアによって異なり、旅行先などで1メーターが「高い」「安い」などの感想を持つ方がおられるのはこのためです。

メーターはどんな仕組みで動いてる?

タクシーメーターは、水道料金や電気料金などのライフラインの料金制などを管轄する「計量法」に基づいて製作されているもので、前もって設定された”タイヤが一回転することで進む距離”に実際回った回転数をかけて正確な料金表示ができるように造られています。

なお、先ほど解説したように通常のタクシーは時間距離併用運賃です。タクシーではどうしても単純に距離を走るだけでなく、信号待ちや渋滞待ちに加え、「コンビニに寄ってほしい」「銀行に寄ってほしい」といったお客様のご要望によって距離がストップする代わりに時間が経過してしまう場面があります。時間距離併用制は、こうした場面に対応するための制度です。詳しくは後述します!

タクシーメーターはかなり精密!

タクシーメーターは、先述したように計量法に則してメンテナンスもされており、年に一度の点検を受けることが義務付けられています。点検時には専用の検査機にかけられ、正しく作動するか厳しくチェックされるのです。走行距離と料金がきちんと連動し、正確に表示されるかどうかが確認されれば合格となりますが、合格していないメーターをのせた車両では営業することができません。

合格後は車検のように合格済みのマークが発行され、有効期限も刻印されます。このような厳正なチェックを受けているメーターにはほとんど誤差はなく、車両の個体差も生じにくいことがおわかりいただけるでしょう。

タクシー料金のメーター制は全国どこも同じ?

先ほどの章で少し触れましたが、タクシー料金は初乗り料金もメーター制に設定された料金が加算される距離や料金そのものも、地域ごとに異なります。ここでは、東京・大阪・両エリア以外の営業地域の料金をざっくりと解説します!

東京と東京周辺のタクシー料金

2020年2月にタクシー料金が改定されて、初乗り料金もメーター料金も様変わりしました。東京都心部を含むいわゆる「特別区および武三区(23区+三鷹市・武蔵野市)」は、初乗り料金が最初の1052mまで420円、以後233mごとに80円が加算されていきます。

その他「多摩地区」では初乗り料金が最初の1200mまでが500円で、あとは257mごとに100円が加算されていきます。ちなみに大島や八丈島などを含む「島しょ地区」は最初の2000mまでが670m、以後250mごとに80円が加算されると制定されています。東京を含む東京周辺地域の現行タクシー料金を以下にまとめておきます!

東京都(加算料金とは初乗り料金で設定された基準距離を過ぎて以後という意味です)

23区+武蔵野・三鷹市 多摩地区 島しょ地区
初乗り料金 1052mまで420円 1200mまで500円 2000mまで670円
加算料金 233mごとに80円 257mごとに100円 250mごとに80円

神奈川県(加算料金とは初乗り料金で設定された基準距離を過ぎて以後という意味です)

京浜地区 相模・鎌倉地区 小田原・泉地区
初乗り料金 1200mまで500円 1200mまで500円 1800mまで780円
加算料金 264mごとに100円 272mごとに100円 243mごとに90円

千葉県(加算料金とは初乗り料金で設定された基準距離を過ぎて以後という意味です)

     A地区      B地区
初乗り料金 1270mまで500円 1270mまで500円
加算料金 263mごとに100円 272mごとに100円

A地区(市川市・船橋市・習志野市・鎌ヶ谷市・八千代市・浦安市・松戸市・柏市など)
B地区(銚子市・匝瑳市・旭市・東金市・山武市など)

埼玉県(加算料金とは初乗り料金で設定された基準距離を過ぎて以後という意味です)

     A地区      B地区
初乗り料金 1230mまで500円 1470mまで620円
加算料金 261mごとに100円 297mごとに100円

A地区(川口市・さいたま市・鴻巣市・上尾市・蕨市・戸田市・春日部市・越谷市など)
B地区(熊谷市・行田市・加須市・本庄市・羽生市・深谷市など)

大阪のタクシー料金

大阪府のタクシー料金は、同じ大都会の東京と比較した場合、一見初乗り料金がやや高めに見えますが、初乗り料金でカバーできる距離が長いので、さほど割高感がないのも特徴的です。大阪府のタクシー料金のもう一つの特徴は、エリアが細かく区切られていないことです。国際空港周辺エリアだけが別エリアになっており、あとは府内全域で同一料金となっています。下表に料金をまとめておきましょう!

大阪府(加算料金とは初乗り料金で設定された基準距離を過ぎて以後という意味です)

     大阪地区    神戸・阪神間地区
初乗り料金 1700mまで680円 1500mまで660円
加算料金 241mごとに80円 230mごとに80円

大阪地区(大阪国際空港内エリア以外大阪府全域)
神戸・阪神間地区(大阪府豊中市および池田市・川辺郡)

東京・大阪以外のタクシー料金

ここまでご覧に入れたように、日本国内とはいえ、タクシー料金制は都道府県はおろか地域によってかなり違いがあります。ここでは、愛知県・京都府・福岡県といったタクシー需要が多いエリアのタクシー料金を表で見てみましょう!

愛知県(加算料金とは初乗り料金で設定された基準距離を過ぎて以後という意味です)

    名古屋地区   尾張・三河地区
初乗り料金 1031mまで450円 1178mまで600円
加算料金 231mごとに80円 251mごとに90円

名古屋地区(名古屋市・瀬戸市・津島市・尾張旭市・豊明市・日進市など)
尾張・三河地区(春日井市・犬山市・岡崎市・豊田市・豊橋市など)

京都府(加算料金とは初乗り料金で設定された基準距離を過ぎて以後という意味です)

   京都市域地区     京都北部地区
初乗り料金 1200mまで460円 1300mまで570円
加算料金 252mごとに80円 226mごとに80円

京都市域地区(一部除く京都市全域・向日市・長岡京市・宇治市・八幡市など)
京都北部地区(綾部市・福知山市・舞鶴市・宮津市・亀岡市・京丹後市など)

福岡県(加算料金とは初乗り料金で設定された基準距離を過ぎて以後という意味です)

福岡A地区(福岡交通圏)   福岡B地区   北九州地区
初乗り料金 1600mまで690円 1500mまで650円 1600mまで680円
加算料金 199mごとに50円 312mごとに80円 316mごとに80円

福岡A地区(福岡市・春日市・大野城市・筑紫野市・太宰府市など)
福岡B地区(福岡県A地区と北九州地区を除く福岡県全域)
北九州地区(北九州市・中間市・遠賀郡)

メーター制以外にもタクシー運賃の種類はある?

タクシー料金はメーター制だけではありません。通常街中で拾うことができるタクシーで採用されているメーター制は、2つのタクシー料金制度を組み合わせて制定された合理的な精算方法であることをご説明していきましょう!

距離制運賃

記事の最初にも解説しましたが、タクシー料金の基本は距離制です。距離制運賃とは一定の距離までの最低料金に加算料金を足していく方式で、最終的には特定のお客様をお乗せした総距離に応じて料金が決まります。タイヤが一回転する距離がわかっているため、タイヤが何回転したかをカウントすれば正確な距離と料金を自動的に算出することができる仕組みです。

ただし、距離制運賃だけですと、渋滞やお客様都合などできわめて低速になってしまった時や停車して待機せざるを得なくなった場合に時間ばかりが過ぎてしまい、タクシーには損失が生じてしまいます。こうした損失をなくすために、次に解説する時間制運賃が併用されているのです。

時間制運賃

時間制運賃とは、いわゆる貸切制だと思っていただければ良いでしょう。タクシーとよく似ているものの、流しや付け待ち営業はせず、貸切予約されたお客様に1回いくらでお伴を請け負う「ハイヤー」も言ってみれば時間制料金を採用していることになります。どこからどこへ行こうと、どこかで待機しようと、時間制運賃のタクシーは時間内であればいかようにも走行しお客様の利便性を高めます。観光タクシーなどの多くがこの料金制で営業しています。

距離と時間を併用したのが通常のメーター制

通常街中で走行するタクシーは、距離制だけでも時間制だけでも合理性に欠け、場合によってはタクシー側の損失が大きくなってしまいます。現行の「時間距離併用運賃」制度は、そういった意味でも最も合理的な料金システムと言えるでしょう。時間距離併用運賃ですと、タクシーが信号待ちや渋滞、お客様都合で待機中といった状況下に時速10kmを切った時点で時間制にメーターが切り替わります。

時間制に切り替わると、今度は一定の時間経過に対して一定の料金が加算されていき、速度が上がれば距離制に戻るというわけです。時間がかかっても一定以上の速度で走っていれば余計な時間分の料金をおかけすることもないので、時間距離併用制はサービスを受ける側にとってもする側にとっても納得感がある料金制度と言えます!

割増割引いろいろ!タクシー特別料金の種類

タクシーの基本的な料金制度についてここまで解説してきましたが、タクシー料金には他にもお客様のご要望や時間帯・特別な状況下にあるお客様などに応じて料金の割増や割引が幅広くいろいろ揃っています。ここでは、タクシーのさまざまな割増・割引料金をご紹介します。

迎車料金

迎車とは、お客様から電話やアプリでタクシーの配車依頼があった場合に、お客様をお迎えに上がることで追加される料金です。迎車料金は数百円程度いただくタクシー会社が多いですが、金額は100円~400円程度まで会社によってさまざまで、中には0円という会社も存在します。

迎車と予約、料金どう違う?

よくある疑問が迎車と予約の違いですが、迎車は「今すぐ来て!」というご要望であり、予約は「○時に来て!」というご依頼です。つまり、時間を指定せずすぐにタクシーを呼ぶ行為が迎車で、時間を指定されることでタクシー会社やドライバーが時間調整を必要とするものが予約となります。予約料金も迎車料金同様、タクシー会社によって設定が異なるほか、予約された時刻やその周辺からメーターが回りだすようになっている会社もあります。

迎車の際のスリップ制とは?

スリップ制とは、迎車料金の代わりに、お客様をお乗せする前からメーターを作動させるシステムのことです。例えば初乗りの距離設定が1.5kmで、お客様を迎えに行くのに1kmを要するとします。この場合、通常であればお客様は乗車後1.5km走行して初めて加算料金に切り替わるのですが、すでにタクシーはお客様のために1km走っているので、実車後500mで加算料金に切り替わるということになります。

早朝深夜割増料金

タクシーには時間帯に応じて、通常料金に一定の割合を加算した割増料金が発生します。時間帯による割増料金は22時から翌朝5時までで、通常料金の2割増としている会社が多数派です。ただし夜は23時からが割増対象となる会社もあります。

割引料金

タクシー料金には、加算ばかりではなく一定の条件を満たしたお客様に対して割引サービスをするものもあります。近年、タクシーの割引料金は非常に幅広く細やかになっており、地域やタクシー会社によってユニークなものも登場していますが、ここでは一般的な3つの割引料金をご紹介します!

遠距離割引料金

遠距離割引料金とは一定以上の料金に達したお客様への割引です。多くは、タクシーメーターが9000円を越えた時点から発生し、料金が1割引となります。しかし、タクシー会社によっては何段階かでステップアップするように割引額を変動させている例もあります。

身障者割引料金

ご移動が大変なお体の不自由なお客様が積極的に社会活動される一助となるために、タクシー業界では身障者割引も導入しています。障害者手帳をご提示いただくと、乗車料金が10%割引になるというものです。ただし、精神障害者福祉手帳ご提示の場合は、割引となる会社とならない会社があります。

免許返納者割引料金

昨今高齢者ドライバーによる痛ましい交通事故が多発していることから、運転免許の自主返納が進んでいます。これに対応し、運転経歴証明書をご提示されたお客様に対して乗車料金の10%を割り引く制度を開始しているタクシー会社が増えています。会社によっては導入していない場合もあります。

転職前に必読!タクシーでよくある料金トラブルとは?

タクシードライバーの中には、料金のことでお客様とトラブルになった経験を持つ人も少なくありません。ここでは、タクシーで起こりうる料金トラブルにはどんなものがあるのかをご紹介します。接客術で回避できるケースも多いので、タクシードライバーへの転職を検討中の方などはぜひ参考にしてくださいね!

うっかり遠回りして料金が上がってしまう

タクシードライバーも人間なので、道を間違えたりしてしまうことがあります。新人ドライバーであればなおさらです。曲がる交差点を間違えて、通常よりも長く走行してしまい料金が増えてしまったことでお客様がご不満を感じる場合があり得ます。

こうならないよう目的地までのルートをすぐにシミュレーションしたり、曲がる角などを逐一お客様と相互に確認したりするのも予防になります。丁寧で感じの良い接客を心がけていれば、少しのミスに対し強く苦情を言うお客様はそうはおられないでしょう。ただし、道に自信がない場合はあらかじめナビを使わせていただくなど、間違えない努力を最大限することが肝心です!

値下げ交渉されてしまう

料金精算時に、値下げを要求して来られる乗客が稀にいます。タクシーの料金はエリアごとに厳正に定められたものなので、このような場合はドライバーの一存で値下げできないことをご理解いただくしかないでしょう。この際、穏やかな中にも毅然とした態度を忘れないようにします。恐怖を感じるような強硬な態度を取られた場合には、警察に連絡しても構いません!

目的地直前でメーターが上がってしまう

あと数十メートルで目的地に着くというところで料金が80円~100円加算されてしまったら、どなたでもがっかりするかもしれません。しかし、先ほども解説したように、タクシーの料金メーターは自動的に公平に表示されるものです。お詫びする必要は全くありませんが、「恐れ入ります」と丁重な姿勢で料金を正しく申し受けましょう!

乗客にお金が足りないと言われてしまう

お客様をお乗せしている最中や降車時に、所持金が不足していると言われることが時々あります。はじめからわかっていて、途中で銀行やコンビニのATMに寄りたい旨を要望される場合もありますが、お財布を開けて初めて気がつかれる方もいます。

料金をお支払いいただかないわけにはいかないので、お金を下ろすなり持ってきていただくなりするしかないでしょう。お金自体がなく支払いを拒まれた場合には警察に通報して構いません。

【まとめ】タクシー料金は営業エリアによってかなり異なる!

街中を走行している一般的なタクシー料金は時間距離併用制で、メーターが表示する料金をお支払いいただきます。メーターは精密にできており、定期的な検査も厳しく行われているので、お客様が疑問を持たれても自信を持ってお答えすることができます。また、タクシーにはさまざまな割増・割引料金などもあり、お客様の利便性やご都合を考慮しながらも、ドライバーやタクシー会社にとっても合理的であるよう考えられているのです。

これからタクシードライバーに転職しようという方は、もしもの料金トラブルに備え、きちんとしたマニュアルや対策を準備しているドライバー思いのタクシー会社に入られることをおすすめします。会社選びに悩んだら、タクシー業界との太いパイプを持つプロの転職コンサルタント「プロタク」までお気軽にご相談くださいね!

この記事のまとめ

☑︎通常のタクシーは時間距離併用のメーター制であり、初乗り・加算料金はエリアによってさまざま
☑︎タクシーには早朝深夜割増料金があるが長距離やお体の不自由な方への割引システムもある
☑︎お客様との料金トラブルは軽微なものなら接客術で回避できる
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