タクシー業界に時事が与える影響とは?世界の変化が直結するのか?

投稿日:2020年10月2日 | 最終更新日:2020年10月2日

2020年は新型コロナウイルスの影響により、様々な業界が打撃を受けました。特に飲食業や観光業など、接客に関連する業界のダメージは非常に大きいものでした。接客や観光に関わりのあるタクシー業界もコロナの大きな影響を受けた業界の一つです。

今回の記事では、新型コロナウイルスをはじめとする世界の時事や変化とタクシー業界の関連性について紹介をしていきます。また、タクシー業界の将来性についても合わせて考察をしているので、タクシー運転手の仕事をしている人や目指している人はぜひ参考にしてください。

この記事を読んだらわかること

☑タクシー業界と世界の時事の関係
☑コロナウイルスがタクシー業界に与えた影響とは
☑タクシー業界の将来はどうなるのか

タクシー業界と時事の関連性

まず初めに、タクシー業界と世界の時事がどのように関わっているのかを詳しく解説していきます。

コロナの影響は看過できない

タクシー業界の現状ですが、ここ最近は新型コロナウイルスの影響により外出自粛をする人が増え、需要が減ってきている状態です。ただ、ウィズコロナ時代が確立し、事態が終息することで需要は回復すると予想できます。コロナ前は需要と供給のバランスでいうとやや需要の方が高い状態でしたので、コロナが完全に終息すれば今後の需要は増えていくでしょう。

そうなると問題になってくるのがタクシーのドライバー不足です。タクシー業界は慢性的に人材不足に悩まされており、特に若い人材の確保が進んでいません。人材不足の状態が続けばタクシーの稼働率が下がり、会社の経営にも影響をもたらします。

そのため、最近では人材不足を解消するために給料や待遇、福利厚生などの改善をする会社が増えてきています。その甲斐もあり近年の需給バランスは回復傾向にあったため、コロナが落ち着いた後はまた少しずつ回復していくと考えられます。

タクシー業界は時流に合った進化をしている

タクシー業界は今まで大きな変化がなかった業界なのですが、数年ほど前からIT化が積極的に進められ始めました。AI導入による業務の効率化や、スマホアプリの導入など、業界全体が時流の変化に合わせた進化をしてきています。

とはいえ、タクシー業界のIT化は他業界に比べて遅れを取っています。そのため、タクシー業界にはまだ改良すべきところがたくさん残っているのです。今後はIT社会が更に加速することが予測されていることから、IT化の波に上手く乗っていく必要があります。

この先の未来でどのような形でITが発展していくのかは、タクシー業界にも大きな関わりがあることです。

世界経済がタクシー業界に与える影響

2000年以降で世界経済が不況に陥った時期というのは、2008年のリーマンショックが最も記憶に新しいです。アメリカのリーマン・ブラザーズという大手の投資銀行が経営破綻したことにより、世界的規模の金融危機が巻き起こりました。日本もその例に漏れず、経済不況の大きな影響を受けました。

リーマンショックが起きた際、タクシーの利用者は一時的に大幅に減少しました。倒産による失業者が増えたことや、法人の利用者が減ったことが主な原因として挙げられます。

リーマンショックの例からも分かるように、タクシー業界のようなBtoC事業は世界経済の影響を受けやすいと言えます。ただし裏を返せば世界経済が安定していればタクシー業界も安定したままの状態を維持できるということでもあるため、一概に悪いことばかりではありません。

コロナがタクシー業界に与えた影響

では、2020年を騒がせた新型コロナウイルスがタクシー業界にどのような影響を与えたのかを解説していきます。

利用者が大幅に減少

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、都心部を中心に1ヶ月ほど緊急事態宣言が発令されました。その影響によりほとんどの人が外出を自粛し、普段は人の多いオフィス街や繁華街はほぼ人がいない状態にまでなりました。そもそも外を歩いている人が少なくなったことで、タクシーの利用者は大幅に減少したのです。

それだけでなく、タクシーは閉鎖された空間であるため、感染予防のために利用を避ける人も多くいました。

お客様を見つけられなければ売上が立たないため、利用者の減少はタクシー会社にとって大きな打撃となりました。緊急事態宣言が解除されてからも感染拡大は続いており、タクシー会社にとってしばらくは厳しい状況が続きそうです。

インバウンド市場の縮小

世界各国で新型コロナウイルスが拡大した影響により、訪日する外国人観光客は90%以上減少しました。これによりインバウンド市場は急速に縮小、現在もなおその影響は続いており、訪日市場回復は2021年の4月ごろと予測されています。

外国人観光客はタクシー業界にとって大きな利益になる存在であったため、インバウンドの減少は大きな痛手となりました。2019年まではインバウンド市場が拡大し、追い風の状態が続いていたため、そのギャップに戸惑うタクシー運転手も多くいます。

外国人観光客がまた日本に訪れることができるようになり、インバウンド市場が元通りになればタクシー業界の経営状態も徐々に回復していくでしょう。

解雇になったドライバーも多数

コロナで客足が減ったことにより業績が悪化し、従業員を解雇せざるを得なくなってしまったタクシー会社も中にはありました。特に大きな話題を呼んだのは、ロイヤルリムジングループの「600人解雇騒動」です。こちらは特殊な事例ですが、他の会社でも業績悪化を理由に解雇を宣告されたタクシー運転手は大勢います。

また、売上の減少で会社の経営が立ち行かなくなり破産申請をする会社も相次ぎました。会社の倒産で失業するタクシー運転手も多く現れ、タクシー業界は過去に類を見ないほどの危機に陥りました。

しかし自粛が解除されてからは客足も戻り始め、徐々に経営を立て直してきた会社も出てきたので、今ではタクシー運転手の雇用を積極的に行っているタクシー会社も増えてきています。

経済の低迷による影響

世界の各地で流行した新型コロナウイルスは、世界経済に大きな影響を与えています。コロナウイルスはワクチンの開発までに1年以上かかるとされており、終息の目処が立っていないことから、リーマンショックのときよりも世界経済は厳しい状況です。

世界経済の低迷はタクシーの利用者減少に拍車を掛けています。タクシー業界の売上はコロナ前と比べると70%~90%減少しており、元の水準に戻るまでには1年~2年程度は掛かると推察されています。

利用者が急激に増えるということは考えられないため、少しずつ時間を掛けて回復をしていかなければなりません。世界経済が元通りになるまではタクシー業界の正念場になります。

他業界の不況による影響

コロナウイルスの流行によって特に大きな打撃を受けたのは観光業界や飲食業界です。今回のコロナショックで倒産にまで追い込まれた飲食店やホテルは数え切れないほどあります。

そして、タクシー業界は観光業や飲食業と密接な関わりがあります。居酒屋が開いていなければ夜の繁華街での営業はできませんし、ホテルが閉まっていれば観光客に対する営業をすることもできません。このように他業界の不況はタクシー業界にも影響を及ぼします。

タクシー業界で生き残っていくためには、観光や飲食などをはじめとする他業界の動向もきちんと把握しておかなければなりません。

タクシー業界の将来性

それでは最後に、タクシー業界の未来はどうなっていくのかを現在の時事の状況に鑑みて解説をしていきます。

コロナによる経済不況の回復

現在のタクシー業界はコロナによる影響で不況に陥っています。しかし、政府によればコロナショックによる経済の冷え込みは三年~五年ほどで元通りになる見通しとされています。リーマンショックが起きたときの経済回復も三年~四年ほどであったため、この見通しは妥当な期間だと言えます。

リーマンショックからの立ち直り以降、タクシーの需要は安定した状態が続いていたため、今回も経済が回復すれば今後は安定した需要が見込めます。

コロナ禍の現在はタクシー運転手にとって厳しい状況が続くことは否めませんが、今の状況が永遠に続くわけではありません。そのため将来性という点においては、タクシー業界は今後も更なる躍進を続けていけると考えられます。

IT導入による強化

今後のタクシー業界はIT導入によって強化されていきます。例えばJapan TaxiやUberタクシーなどに代表されるタクシー配車アプリは既に日本でも浸透し始めており、タクシーが気楽に利用できるようになれば利用者は増えていくものと考えられます。

タクシー運転手と顧客のマッチングが簡単になればタクシーを無駄に走らせる時間が減り、効率よく売上を伸ばせるようになります。そうして会社の売上が増えれば、待遇改善や給与アップの可能性も見えてきます。

IT導入はタクシー業界の未来のためにも必ず通らなければならない道です。

タクシー運転手の仕事がなくなる可能性は低い

タクシー業界のIT化に伴い、AIによる自動運転技術の開発が進められていますが、完全無人のタクシーが実現するのはまだ現実的な話ではありません。仮に将来的に無人タクシーが実現したとしても、対人での接客やサービスを求めるお客さんもいるため、タクシー運転手の仕事はこの先も安定していると考えられます。

現在はコロナの影響で一時的に需要が落ち込んでいますが、タクシー運転手のような接客業はAIでは替えがきかない仕事です。経済が回復すればタクシーのサービスを求める人も徐々にまた増えていきます。タクシー運転手の仕事がなくなる可能性はほぼないと見て問題ないでしょう。

【まとめ】タクシー業界と時事の関係を見極めよう

タクシー業界は世界経済や時事の影響を直接的に受けやすい業界です。リーマンショックやコロナショックのように世界経済が大きなダメージを受ければ、それはそのままタクシー業界のダメージへと繋がります。

ただし経済の影響を受けやすいというのは悪いことばかりではありません。例えば東京オリンピックや大阪万博など、経済が良い方向に回ればそれはタクシー業界にとっても追い風になるのです。

タクシー業界で生き残っていくためには世界の時事や経済状況をしっかりと見極めておくことが重要です。タクシー運転手として未来で活躍するためにも、ぜひ今後の時事の状況をチェックしてみてください。

この記事のまとめ

☑タクシー業界は安定した需要がある
☑タクシー業界は世界経済の影響を受けやすい
☑タクシー業界がコロナショックから回復するまでの期間は1~2年ほど
☑タクシー運転手は将来性のある仕事
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