新人のタクシー運転手が受ける研修内容とは?期間や実地訓練はあるの?

投稿日:2020年10月29日 | 最終更新日:2020年10月29日

タクシー業界は未経験から転職をする人が最も多く、特別なスキルや難しい資格が必要ないことからも人気を集めている職業です。車の運転が好きだからという理由で転職をする人も少なくありません。

タクシー運転手は基本的に一人で仕事をするため、未経験から転職する人に向けて、研修や教育制度を充実させているタクシー会社が多いです。

では、新人のタクシー運転手が受ける研修の内容とはどのようなものなのでしょうか?今回の記事では、新人研修の流れや具体的な研修内容、更に新人ドライバーが気を付けるべきことについて詳しく解説をしていきます。未経験からタクシー運転手に転職したい人はぜひ参考にしてください。

この記事を読んだらわかること

☑新人研修の流れや期間
☑新人研修で取得する資格
☑新人研修で学ぶ具体的な内容
☑新人のタクシー運転手が気を付けるべきこと

新人研修の流れ

タクシー会社に就職をすると、仕事を始める前に新人研修を受けることになります。ここでは一般的なタクシー会社での新人研修の流れを解説していきます。

研修のカリキュラムは様々

新人研修には基本的にカリキュラムが用意されており、それに沿って研修が進んでいきます。カリキュラムの内容は会社によって様々ですが、一般的には以下の通りです。

  1. 第二種免許の取得
  2. 地理試験合格のための対策講座(東京・神奈川・大阪の一部地域)
  3. 適性診断
  4. 接客研修(社内研修)
  5. 法令研修(社内研修)
  6. 教習所での実地研修(社外研修)
  7. 営業所に配属後の同乗研修(社外研修)

他にも会社によってはグループ合同研修や、新人ドライバー同士の交流会があったりもします。しかし、基本的に必要な研修内容は上記の通りです。

第二種免許の取得や、地理試験の合格はタクシー運転手の仕事を始めるために必須の項目です。資格取得に関する費用やサポートは会社にしてもらえるので安心してください。

研修の期間は約1ヶ月

新人研修の期間は、一般的には20日~30日程度です。たいていの場合、1ヶ月もあれば研修は終わると考えてもらって問題ありません。ただし、第二種免許の取得や地理試験の合格ができなければタクシー運転手の仕事を始められないため、何度も不合格になると研修期間が延びる可能性はあります。

また、タクシーの機械操作や接客の研修などにも一定の合格ラインが定められています。こちらは資格取得とは違い会社の判断によるものですが、合格ラインに達していないと判断されているうちは研修終了とはなりません。

一般的な目安として1ヶ月前後だと考えておきましょう。

研修期間中でも給料は出る

基本的にはどのタクシー会社でも研修期間中の給料が保証されています。ただし、乗務開始後と研修期間中では別の賃金規定になっていることがほとんどです。

給与金額は会社によって異なりますが、求人情報に載せている会社が多いのであらかじめチェックしておきましょう。研修期間中の給料は日給や時給にしている会社が大半で、たいていは日当1万円前後です。それにプラスして交通費も実費で支給されます。

このように、タクシー会社は新人ドライバーの育成に多くの時間とお金を掛けています。

新人研修の具体的な内容

次に、新人研修の中でも重要なポイントとなる内容を具体的に解説していきます。

第二種免許の取得

タクシー運転手の仕事を始めるために必要なものの筆頭が「第二種免許」の取得です。第二種免許はタクシーやハイヤーなど、人を運送して運賃をもらう旅客運送の仕事をするのに必要な資格です。

第二種免許を資格するための条件は「満21歳以上で、普通自動車免許の取得から三年以上経過していること」と決められています。三年の期間のうち、免許停止期間は含まれないので注意しましょう。

第二種免許は普通自動車免許よりも難易度が少々高く、合格率は40%弱となっています。ただ、1回で試験をパスしなければならないというわけではありませんので、その点は安心してください。

基本的には、第二種免許を取得するためのサポートは会社から受けることができます。

地理試験の受験

東京、神奈川、大阪の一部地域では、地理試験の合格がタクシー運転手の仕事を始めるための必須条件とされています。地理試験では道路の名前や地名、建物名、公園名など地理に関する問題が出題され、正答率80%以上で合格となります。

試験はマークシート形式でほぼ暗記問題がメインです。合格率は50%程度なので、一回で合格するのは難しいと言われています。多くの人は複数に渡って受験をしており、合格までの受験回数の平均は3~5回程度です。ただし受験回数には特に制限はありません。

第二種免許と同様、合格のために必要な研修やサポートなどは会社から受けることができます。

接客研修

タクシー運転手は接客業でもあるため、基礎から学ぶ接客研修が必ず行われます。接客研修ではお客様の乗車から降車までの中で注意すべきポイントを一つずつ学んでいきます。研修内容としては、基本的な接客マナーや乗車時の挨拶、運転中の会話、ホスピタリティを学ぶ講座など多岐に渡ります。

また、あらゆるケースを想定してトラブルが起きたときの対処法も研修の中で教えてもらうことになります。例えばお客様が酔っていて目的地がはっきり分からないケースや、道に迷ってしまったときの対処法、日本語が分からない外国人観光客への対応などです。

なお、タクシー運転手の制服はたいていの場合会社から支給されます。制服の着こなし方やルールは会社によって違うため、タクシー会社の中には身だしなみから指導が入ることもあります。

実地研修

社内研修が一通り終了したら、次は実際に車を運転する実地研修に入ります。いきなり実際の道路を走るのではなく、まずは教習所での実地研修から始めるのが一般的です。

教習所では、教官をお客様に見立てたロールプレイング方式の研修が中心になります。一般的な接客対応はもちろん、メーターの使い方や運転技能に関するところも指導が入ります。

教習所での研修が終了したら、いよいよ各営業所に配属になります。とはいえ、最初からいきなり一人で仕事を始めるのではありません。最初の2~3回は先輩の運転手に助手席に乗ってもらい、指導を受けながら仕事をこなしていきます。

会社ごとの研修

上記で紹介した基本的な研修の他にも、会社によっては独自に行っている研修もあります。例えば新人ドライバーが集まって行うグループ研修や、各営業エリアごとに注意すべきポイントを学ぶ研修などがそれに当たります。

また、スキルアップを目的とした外国語研修や観光ガイド研修を行っている会社もあります。なお、スキルアップ研修は新人ドライバーだけでなく、全てのドライバーを対象として定期的に行われます。タクシー運転手としてのキャリアを積みたい人はぜひ研修で積極的に学んでください。

新人ドライバーが気を付けること

最後に、新人のタクシー運転手が実際の業務に臨むに当たり、気を付けるべきポイントを解説していきます。

安全運転を心掛ける

タクシー運転手にとって最も大事な業務は「お客様を目的地まで安全に送り届けること」です。もちろん売上を伸ばすことも大事ですが、新人の間は安全運転を第一にして仕事をするようにしてください。

タクシー運転手は、研修期間が終われば基本的に一人で仕事を回します。売上が給料に直結する仕事であるため、最初は売上がなかなか伸びずに焦ってしまうことはよくあることです。ですが、まずは安全な運転を心掛けて業務に慣れることを目標にしましょう。

着実に一歩ずつ仕事をこなしていけば、売上を伸ばす営業方法を考える余裕もできてきます。

地理を把握する

売上を伸ばすためには、地理を把握することが大切です。タクシー運転手は法令によって営業エリアが定められており、お客様の乗車地または降車地が営業エリア内でなければならないというルールがあります。そのため、自分の仕事場所となる営業エリア内の地理は細かく把握しておきましょう。

配属されたばかりの頃はとにかく営業エリア内でタクシーを走らせ、主要な道路や建物の名称などを覚えてください。その中で人が多く集まる場所や、お客様を拾いやすい場所を合わせて覚えておくと、営業がしやすくなります。

効率の良い営業をするためには地理の把握が必須です。売上に繋げるためにも、まずは実際に道を走って色々な場所を回ってみてください。

丁寧な接客対応をする

タクシー運転手はお客様を相手にする仕事であるため、接客スキルが必要です。慣れていないうちはお客様との会話や対応が上手くいかないことも多々ありますが、とにかく丁寧な接客対応をすることを心掛けてください。ぎこちなくても誠実な対応をしていればお客様にも伝わるものです。

万が一トラブルが起きたときは焦らず冷静に対処しましょう。タクシー運転手にありがちなトラブルは、泥酔したお客様が起きなかったり、急いでいるお客様からスピード違反を指示されたり、乗り逃げをされてしまったりなどです。

このような良くあるトラブルは研修の際に対処法を教えてもらえます。トラブルに遭遇したときは研修で学んだことを思い出しながら対応をしていけば基本的には問題ありません。どうしても解決できないときは会社に連絡をして助けを求める手もあります。

【まとめ】新人研修を乗り越えてタクシー運転手としての一歩を踏み出そう

タクシー会社の多くは新人のドライバーに向けて丁寧な教育と研を行います。研修には資格取得も含まれるため普通の会社に比べると研修期間は長くなりますが、全てタクシー運転手の仕事を始めるために必要不可欠なものです。

タクシー運転手として活躍するための初めの一歩は新人研修です。特に未経験からタクシー運転手になった人は研修をしっかりと受け、現場に出るまでに仕事に必要なことを学ぶことが大切です。ぜひ研修や教育制度が充実している会社に入社し、タクシー運転手としての一歩を踏み出してください。

この記事のまとめ

☑研修期間でタクシー運転手に必要な資格を取得する
☑資格取得のサポートは会社からしてもらえる
☑研修期間中でも給料が支給される
☑新人ドライバーは安全運転を第一に心掛ける
☑地理の把握や丁寧な接客が大切
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