【無賃乗車客編】トラブルはこうやって解決しよう!現役タクシードライバーが解説する解決方法

投稿日:2020年7月23日 | 最終更新日:2020年7月23日

営業成績が給料に直結しているタクシー運転手にとって、1日の売上は非常に重要なものです。お客さんの大半はメーター通りの支払いをしてくれるものですが、中には難癖をつけてお金を払おうとしないお客さんとのトラブルが発生することがあります。

無賃乗車をしようとするお客さんに対しては、毅然とした態度でお金を支払ってもうらよう対処しなければなりません。そこで今回の記事では、お金を踏み倒そうとするお客さんへの対処法や考察などを詳しく解説していきます。タクシー会社に入社したばかりの人や、タクシー業界への転職を考えている人はぜひ参考にしてください。

この記事を読んだらわかること

☑無賃乗車をする客の特徴とは
☑無賃乗車をする客を分析して見えてくること
☑無賃乗車をするお客さんへの対処法

料金を踏み倒そうとする客はタクシードライバーが気丈に対応するべき

無賃乗車をしようとするお客さんは、タクシー運転手にとって非常に厄介な存在です。まず初めに踏み倒しを狙っているお客さんの基本的な特徴を解説していきます。

目的地までお送りしたのに料金を支払わない

お客さんが無賃乗車をしようとしていることが判明するタイミングは、目的地まで運送した後が最も多いです。タクシーは後払いなので、お客さんを乗せた段階では踏み倒しをしようとしているかどうか判別するのはほぼ不可能だからです。

また、中には走っている途中でお客さんから「お金を持っていないことに気付いたからATMに寄ってほしい」という申し出を受ける場合もあります。もちろんそれが本当の場合もあるのですが、それを理由にタクシーを出て行きそのまま戻ってこないという手口を使う客もいます。

このように踏み倒しのトラブルは、運送後やタクシーを走らせている途中で起こる可能性が高いです。きちんと目的地までお送りしたのにも関わらず、理由をつけてお金の支払いを拒否するお客さんが存在するということを頭に入れておきましょう。

「手持ちがないから」「いつもより料金高いから」などと理由は千差万別

無賃乗車を狙っているお客さんが踏み倒しをするときの理由は様々ですが、一番多い例は「手持ちがない」など金銭を所持していないことを主張するというパターンです。お金を持ち合わせていないというお客さんは「銀行で降ろす」「家に取りに戻る」などと理由をつけて車外に出ようとします。

そういったお客さんは一度タクシーの外に出てしまったら最後、二度と戻ってくることはありません。中身がほとんど何も入っていないバッグを車内に残していき、タクシー運転手を安心させながら逃げていくといった手口を使う客もいます。

他には「いつもより料金が高い」とクレームをつけ、お金の支払いを拒否する人もいます。基本的にタクシーはメーター通りのお金を支払わなければならないため、もちろんお客さんのその主張は通りません。ただしタクシー運転手が道を間違えた場合などは相手の交渉に対応する必要があります。

一般的なタクシー会社では対処を指導してくれる

タクシー運転手にとって最も気になるのが、もし踏み倒しの被害に遭った場合、踏み倒された金額は誰が負担するのか?ということですよね。また、後払いの対処があるのかどうかも気になるところです。

踏み倒し金額の処遇については基本的にタクシー会社ごとに規定が決められています。朝の点呼のときなどに対処法の指導が入ることが多いです。

無賃乗車をする客とのトラブルは誰でも遭遇する可能性があるため、しっかりと対処法は聞いておきましょう。

お客様をあえて分析してみる – 無賃乗車編 – 

お金を踏み倒そうとするお客さんとのトラブルを再発防止・改善するためには、そのときの状況を具体的に分析するのが最適です。ここでは各トラブルの原因や経緯をあえて深掘りし、どうしてそのような状況になったのかを分析して解説します。

【分析その1】なぜ移動手段としてタクシーを選択したのか

無賃乗車を狙っている人はなぜ移動手段としてタクシーを選択したのでしょうか。交通手段としては他にもバスや電車など色々あるはずです。お金がないにも関わらず、移動手段として高額なタクシーを選択したのには理由があるはずです。

理由の一つとして考えられるのが、タクシーは運転手との一対一になるため、クレームや難癖をつけて不正乗車をしやすいということが挙げられます。電車は改札を抜けるために切符を購入しなければいけませんし、バスは他の乗客の目があります。一対一という状況は何かと好都合だと考えているのかもしれません。

深夜などの遅い時間であれば、終電やバスを逃してしまった可能性も考えられます。泊まる場所がなかったり、次の日に予定があって泊まれなかったり、どうしても帰宅する必要があるときにタクシーは利用されやすいです。

【分析その2】なぜ料金を支払わないのか

タクシーに乗車したのにも関わらずなぜ料金を支払わない人がいるのでしょうか。一口に踏み倒しを狙う客といってもお金を支払おうとしない理由は人それぞれ異なっており、無賃乗車には色々なパターンがあります。

まずはそもそも財布を持ってくるのを忘れたり、単純にお金が足りていなかったというパターンです。こちらのパターンでは乗客に「お金を支払わない」という意図はなく、ただのミスでお金を支払えない状況に陥ってしまったということになります。支払いの意思がないわけではないので、踏み倒される恐れはほぼありません。

厄介なのが最初から踏み倒すつもりでタクシーに乗っているお客さんです。このタイプのお客さんはお金を支払う意思がそもそもありません。そのため上手く理由をつけてお金を支払わないままタクシーを出て行き、そのまま帰ってこないという最悪の事態になることもあります。

他にはタクシー運転手側の非を主張し、お金の支払いを拒否するお客さんもいます。運転手側の非として主張されやすいのが「道を間違えた」「遠回りをした」「そのせいで料金がいつもより高い」などです。運転手側に非がなくとも、こうした主張をしてくる人もいます。

【分析その3】運転手に強く出るお客さんの心理とは?

タクシーでは踏み倒しの被害だけでなく、運転手への暴行や傷害事件も増えてきています。そこまではいかなくても、交通違反の指示を出したり、遅延したときに損害賠償請求をしたり運転手に強く出るお客さんは少なくありません。では運転手に強気に出るお客さんの心理状態はどのようなものなのでしょうか。

暴行や傷害事件の原因として多いのが、お酒を飲んで泥酔しており気分が高揚していたというものです。お酒を飲むと人格が変わる人もいるため、泥酔客には気を付けなければいけません。

他にはタクシー運転手のことをそもそも見下していたり、気持ちに余裕がなく弱い立場の人間に強く当たることでストレスを発散しようとする人もいます。

タクシー運転手が知っておくべき踏み倒しトラブルを避けるためのQ&A

ここでは踏み倒しをする客と実際に遭遇してしまったときの対応方法を解説していきます。

後で支払う打診をされた場合はどう対処すればいいのか?

踏み倒しを狙う客の手口として最も多いのが「手持ちがないからお金を取りに行きたい」というものです。踏み倒しを狙っているお客さんは車外に一度出してしまうとそのまま戻ってきません。

お金を取りに行くなどの理由でお客さんを車外に出すときは、担保として身分証明書を預かるのが基本です。預かるものは免許証や保険証などでOKです。踏み倒しを考えていないお客さんは、特に抵抗なく身分証を預けてくれるはずです。

もしここで身分証を預けるのに抵抗を示した場合、無賃乗車を狙っている可能性が高くなります。支払いが完了するまではタクシーのドアを開けないなどして、きちんと支払いをしてもらうよう対処してください。

防犯カメラのステッカーを貼ったり、カメラが起動していることを暗に伝える

お客さんが踏み倒しを狙っているのではないかと疑問が浮かんだ際には、車内に防犯カメラがあることをやんわりと伝えてみましょう。やましい気持ちがない人であれば撮影されていても特に気にはなりません。

ですが、無賃乗車を目論む客からしたら撮影されているという状況は厄介なものです。顔や音声が記録されているとなると、悪質なことはできにくくなるはずです。

口頭で防犯カメラの存在を伝えにくい場合は、防犯カメラのステッカーを車内に貼るのも一つの手です。無賃乗車をしようとしている客に対し「自分の顔が記録されている」という意識を植え付けられるようにしましょう。

もし踏み倒されてしまった場合は?

色々と対策を講じたものの、もし踏み倒しに被害に遭ってしまった場合にはどのように対処したら良いのでしょうか。まず基本的には警察へ被害届を出すかどうかを検討します。

状況にもよりますが、無賃乗車は「詐欺罪」に抵触する可能性があるほどの立派な犯罪です。被害届を出せば警察はきちんと対応してくれます。

ただし被害届を出すとなると、どうしても面倒な手続きをしなければいけなくなり、更には時間も掛かってしまいます。タクシー会社の方で何かしらの対応をしてくれることもありますので、無賃乗車の被害に遭ったときの対処方法はあらかじめ会社に確認を取っておくようにしましょう。

【まとめ】タクシーの無賃乗車・踏み倒しには様々な対応策がある!

踏み倒しのような金銭が絡むトラブルは、タクシー運転手個人の営業利益が損なわれるだけでなく会社の損失にも繋がってしまいます。そのため対処法をしっかりと把握しておき、お金の支払いを拒否するお客さんに慣れることも重要です。無賃乗車をする客といっても色々な人がいますので、なるべく幅広いケースを想定しておけるようにしましょう。

とはいえ、実際に被害に遭ったときは一人だけで全てを解決する必要はありません。どうしようもなくなったときはタクシー会社や警察に相談をするのも一つの手です。踏み倒しをする客には遭遇しないことが一番ではありますが、万が一被害に遭ってしまっても落ち着いて対処をできるようになりましょう。

この記事のまとめ

☑目的地に運送したにも関わらず支払いをせず逃げる人がいる
☑タクシー車外に出す際は身分証を預かろう
☑踏み倒しへの対処法は会社によって異なる
☑踏み倒された場合は会社や警察に相談しよう
転職相談の方はこちらをチェック