投稿日:2020年7月23日 | 最終更新日:2023年2月1日
タクシー会社の大半はドライバー個人の売上によって給与が変動する「歩合制」の給与形態を採用しています。しかし全てのタクシー会社が完全歩合制にしているのかというと、実際はそうではありません。売上が少なくても最低限の給与を支払うことを約束する「保証給」という制度を設けている会社もあるのです。しかしコロナ禍ではその保証給制度も休止や廃止となっておりました。
2022年以降には保証給制度を再開する企業が増えてきました。2023年2月1日現在ではなんと年収で400万以上を保証する会社も出てきています。
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今回の記事ではタクシー会社における「歩合制」と「保証給」について詳しく解説をしていきます。タクシー運転手が売上を伸ばすための戦略やポイントも合わせて紹介しているので、これからタクシー会社に転職を考えている人はぜひ参考にしてください。
この記事を読んだらわかること
☑タクシー会社の給与体系3パターン
☑歩合制の思わぬ落とし穴とは
☑タクシー運転手として売上を伸ばすためのノウハウ
タクシードライバーの保証給とは?
保証給は主に新人や業界未経験の人を対象にした給与形態であり、売上とは関係なく一定の保証給料を支払う制度のことです。
タクシー会社は歩合制の割合が高く、経験を積めば積むほど稼ぎやすくなりますが、新人は歩合制だけではなかなか稼ぐことができません。そのため保証給によって一定の給料を保証し、売上を伸ばせるようになるまで会社がサポートをするのです。
最低賃金との違いとは?
では保証給と最低賃金は何が違うのでしょうか?最低賃金とは都道府県が定めた最低賃金額に基づき、労働した日数分の給与を最低限支払う制度のことです。最低賃金は時給に換算して計算されます。
一方の保証給はタクシー会社ごとに最低保証される金額が異なります。保証給については「最低賃金を上回っていければならない」ということが労働基準法によって定められているため、どのタクシー会社であっても最低賃金額以上の給与をもらうことができます。
優良なタクシー会社であれば最初から高額な保証給を出してもらえることもあります。
なぜ保証給という制度が存在するのか
歩合制のイメージが強いタクシー会社に保証給という制度が存在するのは人材不足によるものです。近年ではタクシー業界の高齢化が進み、深刻な人材不足が発生しています。若手の社員がなかなか入ってこないタクシー業界は、せっかく入社した新人に辞めて欲しくないため、保証給の制度を設けることで給料を確保し人材育成に力を入れています。
完全歩合制であれば給料が少ないという理由で退職をする新人が後を絶ちませんが、保証給の制度があれば離職率をぐっと抑えることができます。そうして新人を徐々に育てていき、ゆくゆくは歩合制だけで稼げるようになるまで会社の方でサポートをします。
つまりタクシー会社は新人の社員に対し「会社の将来的な戦力になってほしい」と考えている側面が強いため、保証給という制度を導入しているのです。
タクシーの賃金の支払われ方をおさらい
タクシー会社の給与体系は主に3パターンあります。ここではタクシー運転手の給与の支払われ方について解説をしていきます。
【パターン①】固定給+歩合給+賞与(企業売り上げ)
1つ目のパターンは、固定給と歩合給に加え、年に数回の賞与が支払われる一般的なサラリーマンと同じような給与形態です。なお賞与に関しては企業の売上によって支払われる金額が異なってきます。
メリットとしては売上が少ない月でも安定した収入が得られることです。また、売上が固定給の金額が超えた場合にはその分が歩合給として上乗せされるのも嬉しいところです。
ただし売上にはノルマが課されており、それを下回ってしまった場合には固定給が減額されることがあります。歩合率も低めなので、業界未経験でとりあえず安定した給与をもらいながら経験を積みたいという人におすすめです。
【パターン②】固定給+歩合給+賞与(積立)
こちらはパターン1と似ている給与体系なのですが、賞与が固定給と歩合給の一部から積み立てられるという点が違います。安定した給与を確保しつつ、歩合率も高くなっているので、歩合制の良い部分を取った給与体系だと言えます。
積み立てられた賞与は年に数回まとめて支給されます。努力した分が給与にしっかり反映されるので、営業のやる気も上がります。こちらの給与体系はタクシー会社で比較的多く採用されています。
安定した固定給をもらいつつ、営業も頑張って大きく稼ぎたい人におすすめです。積み立てた分がまとめて支給される方式なので貯金が苦手な人にも有難い給与体系です。
【パターン③】完全歩合制
こちらも多くのタクシー会社で採用されている給与体系です。こちらは「月間の売上×歩合率」で計算され、各タクシー運転手の売上によって給与が支払われます。
歩合率は会社によって異なるのですが、平均して約50%~60%のところが最も多いです。例えば1日3万円の売上を20日間続けたとすれば、3万円×20日=60万円となり、給与は30万円~36万円ということになります。
努力次第ではかなり大きく稼ぐことができるため、経験者やベテランドライバーに人気の給与体系です。安定した収入を得られないというデメリットはあるものの、タクシー運転手としての腕に自信がある人は完全歩合制の給与体系を選択する人が多いようです。
歩合給制の思わぬ落とし穴
売上次第では大きく稼ぐことができる歩合制ですが、実は思わぬ落とし穴があったりします。ここでは完全歩合制のデメリットを解説していきます。
実力・営業成績が給与に反映される
歩合制はタクシー運転手個人の売上によって大きく収入が異なります。その人の労働時間や営業成績が給与に直結するため、より多くの売上を上げられる人だけが稼げるシステムなのです。
そのため完全歩合制は経験豊富なベテランドライバー向きであり、新人や未経験の人には向いていません。いきなり歩合制の給与体系を選択してしまうと、思うように稼げず焦りが出て余計に稼げないといった事態に陥りかねません。歩合制は経験者向きの給与体系です。
休みがちなタクシー運転手にも不利
歩合給は、基本的には月ごとの労働時間や営業成績に基づいて決められます。そのため、休みが多く営業日数が少ない人にとっては不利な給与体系です。
また、休んでいた分を取り返そうとするあまり1日の労働時間が長くなってしまうということもあります。タクシー運転手は体調管理も大事にしなければならないので、不規則な生活を送ることはおすすめできません。
休みがちになるとプレッシャーを感じてしまい、それがストレスになってしまうこともあります。
毎月の収入が安定しない
歩合給は月によって給与が変動する可能性が高いです。タクシー業界にも繁忙期と閑散期があるので、前の月は稼げたのに今月は全然ダメだった…ということも珍しいことではありません。
そのため、住宅ローンや車のローンなど毎月高額の固定費を支払っている人は注意が必要です。安定した一定の収入が必要な人にとっては歩合制はあまり向かないかもしれません。
一般的なタクシー会社では最低賃金が保証されている
完全歩合制を導入している会社であっても、都道府県によって定められている最低賃金は支払わなければなりません。なのであまり売上が伸ばせない人でも最低賃金額程度の給与をもらうことはできます。
一般的なタクシー会社では必ず労働時間の分だけの最低賃金が支払われますので、歩合制といっても全く給料がもらえないわけではないので安心してくださいね。
タクシードライバーの最新給料事情は以下からもご確認いただけます。
タクシー運転手が売り上げを高めるための戦略・ノウハウ
タクシー運転手として売上を伸ばしていくためには、戦略を考えて実践したり稼ぐためのノウハウを身に着ける必要があります。タクシー運転手が売上を高めるためのポイントを紹介します。
1日の売り上げ目標決めて達成できるために逆算していく
まず大切なのは1日の売上目標をきちんと決めることです。目標を決めていなければ毎日ダラダラとタクシーを走らせてしまうことになり、無駄に時間ばかりが過ぎていきます。
目標を定めておけば、その目標に向かって「あとどの程度で達成できるのか?」ということを逆算しながら考え行動をすることに繋がります。あまりに高すぎる目標を掲げるのではなく、現実的に達成できそうな目標を決めて営業をするのがポイントです。
歩合制をフルに活用するためには健康管理も大切
タクシー運転手にとって1日の時間をどれだけ効率よく使うかというのは非常に重要になってきます。そのためには休憩、食事、運動などドライバー自身のセルフケアを行い、個人の体調管理をしていくことが大切です。
歩合制をフル活用するためにも、常に健康的な状態でいられるよう心掛けましょう。
ストレスを抱えながらの仕事は効率がダウンする
タクシー運転手が陥りがちなのが、ストレスによる仕事への影響です。睡眠不足や職場でのストレスは肉体的にも精神的にも疲労してしまい、営業を効率的に回すことがだんだんと難しくなっていってしまいます。
また、思考力や集中力が低下していると接客の能力が下がり、それがクレームに繋がってしまう恐れもあります。なるべくストレスフリーな状態で営業に臨めるよう、プライベートはプライベートでしっかりとリフレッシュしてから仕事に向かうようにしてください。
【まとめ】タクシー運転手になりたい人は保証給の制度がある会社を適切に選択しよう!
タクシー会社の保証給という給与体系は、入社したばかりの新人や業界未経験の初心者の人に向けた重要な制度です。新人の状態で歩合制で稼ごうとするのは非常に難しいものですが、保証給の制度があれば一定の給与をもらいながら少しずつ経験を積んでいくことができます。
なのでこれからタクシー運転手を目指そうと思っている人はぜひ保証給の制度を導入しているタクシー会社を探してみてください。最初は売上がなかなか伸びなくても保証給であれば毎月の給料は安定しますし、努力次第ではいずれ歩合制で大きく稼げるようになれます。保証給の制度を利用しながら給料アップを目指しましょう。
この記事のまとめ
☑タクシー会社の給与体系は固定給と歩合給と賞与がある
☑歩合制は初心者には不向きな給与体系
☑目標を決め心身の健康状態に気を使うことで売上アップを目指せる