投稿日:2020年10月29日 | 最終更新日:2020年10月29日
タクシー運転手の給料は歩合制です。
営業成績の良し悪しによって給与額が変わるわけですが、「どんな計算方法なのか?」「実際にどれくらい手取りがもらえるのか?」ということが気になりますよね。
そこで今回はタクシー運転手の歩合制について詳しく解説します。
例として大手タクシー会社の給料や歩合率も紹介するので、リアルな給料の金額もイメージできるでしょう。
後半では効率的に給料をアップさせるための方法についてもノウハウを公開しているので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んだらわかること
☑︎大手タクシー会社4社の歩合率を紹介
☑︎タクシー運転手が給料をアップさせるためのコツ
☑︎稼ぎやすいタクシー会社で営業するのが大事という話
タクシー運転手の給料は歩合制
歩合給とは、営業成績に応じて固定給に上乗せしてもらえる給与のことです。
売り上げから消費税や必要経費などを抜いた上で、そこから一定の割合が歩合給として支給されます。
売り上げが悪い場合、固定給は据え置きとなりますが、歩合給は下がってしまいます。トータルの給与額は減るリスクがあるでしょう。
しかし逆をいえばスキルを上げれば上げるほどたくさん稼げるということです。
やればやった分だけお金になって返ってくるからこそ、タクシー運転手は意欲的に仕事に取り組めます。
またタクシー会社にとっても、社員の能力に見合った給料を支払えるのはメリットといえるわけです。
つまり歩合制は、タクシー会社とドライバーお互いがWin-Winの関係を築ける制度といえます。
タクシーの歩合制は3種類ある
タクシー業界の歩合制は3種類に分けられ、タクシー会社によって導入している制度が異なります。
これからタクシー会社を選ぶ人はよく吟味して、自分に合ったタクシー会社を選びましょう。
タイプA:基本給+歩合給+ボーナス
タイプAは、基本給が多めで歩合給は少ない給与体系です。
一定の売り上げまでは基本給に含まれる形となり、それ以上の売り上げがあった場合にのみ歩合給が発生します。
基本給が高めなので毎月の給料額は安定しています。しかし実績による上乗せ分が少ないので、これまでほかのタクシー会社で大きく稼いできた人には物足りないかもしれません。
タクシー業界の経験が浅く、「実績で稼げる自信があまりない」という場合にはタイプAがおすすめといえるでしょう。
ただし、タクシー会社としては売り上げが少ない社員に対しても給与を多く払わなくてはなりません。このことから、都市部ではタイプAを導入しているタクシー会社は減ってきています。
タイプB:完全歩合給
タイプBは完全歩合給ですが、基本給がまったくないわけではありません。
地域の定めた最低賃金がベースとなり、そこに歩合給が上乗せされます。
歩合給の割合が多いため、タクシー業界で実績をあげてきた自信のある方にはタイプBがおすすめです。成績を上げれば上げるほど稼げるといえるでしょう。
ただし基本給が低いため、売り上げが給与に直結します。景気のあおりを受けやすいデメリットもあるので注意しましょう。
AとBの中間タイプ
こちらは基本給に歩合給と賞与がプラスされた給与体系で、現在の主流となっています。
タイプAと似ているのでわかりにくいのですが、タイプAより固定給の割合が低く、歩合給の割合が高くなっています。
基本給がそれなりにあるため売り上げが悪くても生活に支障はなく、歩合給の部分もそれなりなので努力次第で給与が上がります。
また、固定給と歩合給から一定の割合が積み立てられ、賞与として支給されます。
ここまで、タクシーの給与体系を3種類紹介しました。
ただし、タクシー会社がどのタイプを導入しているのかキッパリと分けることはできません。どの会社も微妙に異なるバランスとなっているため、タクシー会社を選ぶ際はよく調べておく必要があります。
大手タクシー会社の歩合率を紹介!
実際にどれくらいの歩合率なのか、ここでは大手のタクシー会社を例にとって紹介します。
例としてあげるのは以下の4社です。
- 大和自動車交通株式会社
- 日本交通株式会社
- 国際自動車株式会社
- 帝都自動車交通株式会社
ちなみに給料の計算方法は
賃金額=固定給+(月間営収額-足切額)×歩合率 |
となります。
大和自動車交通株式会社
大和自動車交通株式会社は創業80年になる歴史のある企業です。
東証2部上場企業というのも安心感があるでしょう。
最初の5か月は40万、その後の7か月は35万という手厚い給与保障があります。
サポート体制が整っていることもあり、社員には異業種から転職してくる人が多いです。
給与保障期間が過ぎたあとは以下の条件となります。
固定給 | 180,000円 |
歩合率 | 59% |
賞与 | 年3回支給 |
日本交通株式会社
日本交通株式会社は売上高でタクシー業界トップを誇る企業です。
入社3カ月は30万円の給与保障があります。
固定給 | 182,000円 |
歩合率 | 62% |
国際自動車株式会社
国際自動車グループは通称「KMグループ」という名前で知られています。
企業規模としては日本交通株式会社と並び、国内最大手のタクシー企業です。
研修期間は日給1万円となっており、配属後も3カ月は給与保障があります。勤務体系によって金額が変わり、日勤であれば23万円、隔日・夜勤であれば30万円となっています。
固定給 | 170,500円~201,500円 |
歩合率 | 59% |
臨時給 | 年3回支給 |
帝都自動車交通株式会社
帝都自動車交通株式会社は京成グループの企業です。
国際自動車株式会社と同様、研修期間は日給1万円です。配属後は3カ月間の給与保障(30万円)があります。
また、入社祝い金として10万円が支給されるところもポイントです。
固定給 | 19万7,000円(14万7,000円+一部手当) |
歩合率 | 59% |
臨時給 | 年3回支給 |
歩合率はアップしないのか?
「歩合率は何年勤めても同じなのか?」という疑問もあるかと思います。
これについて解説していきます。
歩合率アップは期待できない
タクシー業界は年功序列ではないので、勤続年数によって歩合率が変わるということはあまりありません。
ただし、会社によっては一定以上の売り上げがあった場合のみ歩合率が上がるところもあります。
基本給の部分は上がる可能性がある
歩合率に関しては新人でもベテランでも変わらないことが多いですが、基本給は勤続年数や営業成績によっては上がる可能性があります。
といっても、「何年もかけてようやく数万円上がる」という程度です。普通の営業職などのようなベースアップは期待できません。
タクシー運転手が効率よく給料をアップさせるための方法
歩合率や基本給のアップが望めず、どうすれば収入をアップさせることができるのか?というと、やはりタクシー運転手として売り上げをアップさせるのが最も近道といえます。
売り上げをアップさせるために必要な要素を以下で解説していきます。
営業スキル・接客スキルを上げる
まずはお客さんを効率よく乗せるための営業ノウハウを身に付けることです。
どこに行けばお客さんがたくさんいるのか、場所のリサーチは欠かせません。
また、時間帯によって人の流れが変わるところも意識しましょう。「昼間はオフィス街に人が多いけど、夜は繁華街の方がお客さんを乗せやすい」など傾向があるはずです。
「お客さんがタクシーを必要とするタイミングはいつか?」を考えていくといいでしょう。
また、タクシーはお客さんを相手にする仕事である以上、接客スキルも非常に大切です。
お客さんもタイプが色々です。運転手と会話を楽しみたい人もいれば、車内で静かに過ごしたい人なら話しかけられたくないでしょう。
相手を不快にさせないよう、お客さんの反応を見ながらどのように接するのかを見極めることが必要です。「空気を読む力」といってもいいかもしれませんね。
お客さんに気分よく乗ってもらうことで指名を頂ける確率が上がったり、お客さんによってはチップを下さるかもしれません。
このようにスキルをとことん磨き、お客さんから選ばれる運転手を目指しましょう。
稼げるエリアで営業する
どんなにスキルがあっても、お客さんのいない場所では仕事になりません。
お金を稼ぎたいのであれば必ず、稼げるエリアで営業する必要があります。
やはり田舎よりは都市部の方が人の数が圧倒的に違います。
そして都市部であっても、住宅街よりは繁華街や駅前など稼ぎやすいポイントがあります。
終電を逃したお客さんがどのような行動をとるか、傾向も把握しておくと良いでしょう。
待遇の良いタクシー会社に勤務する
タクシーの運転手は営業成績を上げて収入を増やすのが基本の稼ぎ方といえます。
そのためには歩合率の高い会社に勤務するのが給料アップの近道といえます。
とはいえ歩合率が低くても他の要素、例えば福利厚生や手当が充実していることもあります。
単純に歩合率だけで決めるのではなく、勤務する地域や福利厚生など、総合的に判断しましょう。
稼ぎやすいタクシー会社に転職するにはどうすればいいか
「待遇の良いタクシー会社を選ぶ」といっても、どのように選べばいいのか分からない場合が多いと思います。
たとえば会社のホームページを読み込んだり、就職説明会に参加するのは大切なことです。
しかし企業としては良い面を前面に出しているため、個人で優良なタクシー会社かどうか判断するのはなかなか難しいと言わざるを得ません。
入社してから「こんなはずじゃなかったのに…」とならないようにしたいものです。
就職・転職は人生の一大事です。失敗はしたくないですよね。
そこで有効活用したいのが、タクシー専門の転職コンサルタントです。さまざまな条件から、その人にあった働き方を提案してもらえるだけでなく、待遇がいいタクシー会社の紹介制度もあるため、転職活動の際にはぜひ活用してください。
【まとめ】歩合制だからこそ稼げるチャンス
今回はタクシーの歩合制について詳しく解説しました。
基本給が低めになっているタクシー会社の場合、「ちゃんと生活できるのかな?」と不安になるかもしれませんが、その場合は歩合率をチェックしてみてください。もしかしたら大きく稼ぐチャンスがあるかもしれません。
そしてタクシー運転手として大きく稼ぐためには、働く企業選びがとても大事です。現在すでにタクシー運転手として仕事をしているのであれば、この機会に自身の会社の待遇を他と比べてみてはいかがでしょうか。
この記事のまとめ
☑︎安定をとるか、大きく稼ぐチャンスをとるか、人それぞれ選択がある
☑︎給料をアップさせたいならスキルを上げるべき
☑︎待遇の良いタクシー会社に勤めよう