投稿日:2020年9月1日 | 最終更新日:2020年9月1日
タクシー業界に初めて転職をするときに気になることの一つが「タクシー業界の離職率はどれくらいなのか」ということです。せっかく転職をするのならすぐに辞めたくはないはずなので、長く働ける業界なのかどうかという見極めは非常に重要です。
今回の記事ではタクシー業界の離職率と他業界の離職率を比較し、タクシー運転手が離職をする原因と理由についてを詳しく解説していきます。また、タクシー会社による離職率の差についても合わせて解説します。これからタクシー業界へ転職を考えている人はぜひ参考にしてください。
この記事を読んだらわかること
☑タクシー運転手が離職する主な理由
☑タクシー会社による離職率の差
タクシー業界の離職率はやや高め
タクシー業界の離職率はやや高い傾向にあると言われています。タクシー業界と他業界の離職率を比較しながら詳しく解説していきます。
離職率は20~30%
タクシー業界の離職率は、約20%~30%程度とされています。全ての業界の平均離職率は約15%前後であるため、タクシー業界の離職率は決して低いとは言えない数値です。ではタクシー業界はブラックなのか?というとそういうことではありません。
タクシー業界は近年では高齢化が進んでおり、特に若手の人材が不足している状態です。人材不足を解消するために、他の業界と比較して入職の間口を広く取っている会社が多いのです。
入職率が高いということは、その分辞める人も多くなるので離職率も高くなります。タクシー業界は離職率よりも入職率の方がやや上回っているため、定着して仕事を続けている人の方が多いです。そのため、離職率の数値が高いだけで業界がブラックかというとそうとは言い切れません。
最も離職率が高い業界は”飲食・宿泊業界”
離職率が最も高い業界は「飲食・宿泊業界」です。離職率は50%を超えており、半数以上の人が定着をせずに辞めてしまっているということになります。飲食業界はホールや調理スタッフ、宿泊業界はホテルのフロントスタッフや客室係などが職種として多いです。
飲食・宿泊業界の離職率が高い原因としては、賃金が安いことや労働時間が長いことなどが挙げられます。また、店舗や施設によっては従業員の待遇が整っていないこともあり、それも離職率を上げる一因になっています。
しかし飲食や宿泊業界は自身のスキルアップのために転職をするという人も少なくありません。離職の理由は様々ですが、決してネガティブなものだけではないのです。
離職率が低いのは”インフラ業界”
反対に離職率が最も低いのは、水道・ガス・電気などのインフラ業界です。離職率は約9%と、全業界の中で唯一10%を下回っています。
インフラ業界は需要が決してブレることのない業界であり、業績が安定している会社が多いです。そのため従業員への待遇や福利厚生などが充実しており、また、仕事を進めやすい環境も整っています。
インフラ業界はそもそも人気が高いため倍率が高く、入社するまでが大変です。苦労して入社した企業を辞める人というのは少ないので、離職率も低いのです。
サービス業界は離職率が高い傾向にある
業界全体の傾向として、サービス系の職種は離職率が高い傾向が見られます。タクシー運転手の仕事は接客業でもあるため、タクシー業界はサービス業と運送業のどちらにも当てはまります。
運送業界の職種としては、トラックドライバーや宅配ドライバーなどが当てはまります。なお、運送業界の離職率は25%前後とされています。サービス業の離職率は、職種にもよりますが30%~50%の間が多いです。
なのでタクシー業界の離職率が20%~30%という数値は、決して突出して高いわけではないのです。
タクシー運転手が離職する原因と理由
タクシー業界を離職する原因としては、入社後に理想と現実のギャップを感じたという理由が非常に多いです。ここではタクシー運転手が会社を退職する具体的な原因や理由を解説していきます。
思ったように稼げなかった
タクシー会社は基本的に歩合制の給与体系を採用していることが多いです。なので給料を上げるためには、タクシー運転手ひとりひとりが努力して売上を伸ばさなければなりません。
タクシー運転手は歩合制ですぐにでも高給が取れるというイメージを抱いて入社した人は、新人の間はなかなか売上が伸ばせず稼げなかったことが原因で退職してしまうというパターンが多いです。
タクシー運転手は楽に高給が取れるのではなく、努力して給料を上げていくものだということを念頭に置いておかなければいけません。
生活リズムが乱れてしまった
タクシー運転手の勤務形態は普通のサラリーマンと違って少し特殊です。日勤で働くことも可能なのですが、タクシー運転手の大半は隔日勤務という勤務形態で仕事をしています。
隔日勤務は1日の勤務時間が20時間~22時間程度と長く、その代わり勤務の翌日が明け番として休みになります。朝から翌日の早朝までが仕事になるため、勤務時間とライフスタイルが合わなければストレスを感じてしまう原因になります。
特殊な勤務形態で生活リズムが乱れ、体調管理ができなくなったという人もいます。転職の前に勤務形態が合いそうかどうかの検討は必須です。
仕事中にトラブルが起きた
タクシー運転手は毎日様々なお客様と関わる機会があります。中には理不尽なクレームをつけてくる人や、泥酔した人などもいます。そういったお客様への対応に嫌気が差し、思い悩んでしまうタクシー運転手は少なくありません。
また、タクシーを運転している際に、交通違反や事故など何かしらのトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。自分自身が原因で引き起こした事故に対しては会社から注意や指導が入ります。
こうした仕事中のトラブルが立て続けに起こると、精神面に負担が掛かります。メンタルケアが上手くできなければ、退職まで追い込まれてしまう人もいます。
年齢的に働くのが厳しくなった
タクシー業界は高齢化が進んでおり、ドライバーは60代~70代の高齢者が最も多いです。タクシー業界は法令により労働する年齢に制限がなく、定年退職というのがありません。
しかし、最近では高齢者の免許返納の動きなどもあることから、高齢ドライバーの離職が多くなってきています。また、健康に支障をきたしたり、体力的に厳しくなってきたりで離職する高齢ドライバーも増えています。
若い人材が常に不足しているタクシー業界は、高齢のドライバーが支えているという状況です。なので高齢ドライバーの離職の増加は、業界全体の離職率を上げる一因となっています。
個人タクシーを始めることにした
タクシー会社で経験を積んだ後、個人タクシーを開業するために離職するという人も一定数存在します。個人タクシーを開業するためには、タクシー会社に10年以上勤めるなど資格要件が定められています。
なので個人タクシーの開業を理由に離職するのはベテランドライバーに多いです。個人タクシーは、車両の整備や税金関連の手続きなどを全て自分で行わなければなりませんが、腕のあるドライバーにとっては会社に勤めるよりも大きく稼げるからです。
また、初めから個人タクシーの開業を目的としてタクシー会社に入社する人もいます。タクシー運転手は出世や昇進がほとんどないため、稼ぎたい意欲のある人は最終的な目標に個人タクシー開業を据えることが多いです。
離職率は会社によって差が出る
タクシー運転手の離職率は、タクシー会社によって大きな差が出ます。ここでは良い会社と悪い会社の見極め方を解説していきます。
歩合率が低すぎないか
歩合制を採用しているタクシー会社でまず確認すべきポイントは、売上に対する歩合率です。歩合率が低い会社では、どれだけ頑張って売上を伸ばしてもなかなか給料を増やすことができません。
歩合率はタクシー会社によってそれぞれ定められているのですが、大手のタクシー会社では60%前後に歩合率を設定しているところが多いです。
なお一口に歩合制といっても、給与体系が「完全歩合制」であったり「固定給+歩合給」であったり、給与体系は会社によって異なります。転職前に給与体系については会社に確認を取っておき、しっかりと稼げそうかどうかを検討しましょう。
サポート体制は整っているか
新人を教育するための研修制度や、事故補償などのサポート体制がきちんと備えられているかどうかもチェックすべき大事なポイントです。
未経験で転職をした場合、教育・研修制度がなければ仕事のやり方がなかなか掴めず、稼ぐことが難しくなります。新人教育に力を入れているかどうかは確認しておいた方が良いでしょう。
事故やトラブルが起きた際に会社側がきちんとした対応をしてくれるのかも重要です。転職面接を受けるときなどに、トラブルが起きた場合の対処法を質問で聞いてみて面接官の答えを伺ってみてください。
シフトや休日に融通はきくのか
タクシーは基本的に年中無休で営業しているため、タクシー運転手はシフト制で勤務をしています。シフトは会社側が決めるのですが、休み希望や有給休暇の取得ができるのかどうかは重要です。
正社員で勤務をする以上、シフトの全てを自由に決めることはもちろんできません。しかし、休み希望が全く通らなかったり、有給休暇の取得率が悪い会社には注意が必要です。シフトの融通が全くきかなければドライバーのストレスの原因になりかねません。
シフトの決め方や、公休日はあるのかどうか、現在働いている社員は有給休暇をちゃんと消化しているのかなど、休日に関することはあらかじめ確認をしておくのがおすすめです。
【まとめ】離職率の低いタクシー会社に転職しよう!
タクシー業界の離職率は、他業界の平均と比べるとやや高い傾向にあります。離職率が高めの原因としては、入職の間口が広いことや高齢ドライバーが多いことが関係しているため、タクシー業界の待遇が悪いというわけではありません。
離職率は会社によって大きく異なってくるので、タクシー運転手に転職をするのなら離職率の低いホワイト企業を探すことが重要です。タクシー会社は大手から中小零細まで様々ありますが、気持ちよく働ける環境が整っているかどうかを必ずチェックして、後悔のない転職をしてください。
この記事のまとめ
☑理想と現実のギャップを感じて離職する人が多い
☑タクシー会社によって離職率に差が出る
☑転職前に会社の待遇面を確認することが重要